研究課題/領域番号 |
21K14417
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サスペンション / 繊維分散系流体 / セルロースナノファイバー / 偏光イメージング / 流動複屈折 / 降伏流体 / 平面流れ |
研究実績の概要 |
2021年度は,開発した偏光イメージング装置を用いて,セルロースナノファイバー(CNF)分散系流体(濃度は,0.3 wt%から1.5 wt%)のレオロジー計測および流動によって誘起される繊維配向の計測を行なった。 レオロジー計測は,レオロジー計測は,応力増加試験を行い,高濃度(1.0 wt%以上)のサンプルで発生する降伏挙動をレオ・オプティック測定によって検討した。食品や化粧品といったソフトマターでは,降伏挙動が複数回観測されることがあり,本サンプルでも同様に2回の降伏現象が観察された。偏光解析によって,第1回目の降伏は滑りを伴った降伏であり,第2回目の降伏が真の降伏現象であることを,初めて明らかにすることができた。今後は,滑り条件なども詳細に調べることで,本現象をより深く理解することができると考えられる。 流動による繊維配向の計測は,平面流れに着目し検討を行なった。2021年度では,平面急縮小流れと平面急拡大流れを流れ場として採用した。縮小流れと拡大流れでは,同じ流路形状であっても,形成される繊維配向場が大きく異なることが明らかになった。また,伸長流れで誘起される配向が再びせん断流れ場における発達した配向状態に変化するのに要する距離が,流量に依存しなかった。一般的に繊維配向が発達する主要因として熱運動が挙げられるが,今回のケースでは,熱運動による発達よりも他の要因が支配的であることが示唆された。今後もより詳細な実験を遂行しながらメカニズムの解明が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発した偏光イメージング装置によって,種々の流れ場におけるCNF分散系流体の繊維配向や降伏挙動を捉えることができた。今後も,様々な流動場における配向現象を計測することで,形成される配向現象のメカニズム解明や配向制御の検討を行なっていく。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は計画に従って,引き続き平面流れの繊維配向と計測していく。また併せて,CNF分散系流体の速度場も計測し,速度場および配向場の相互関係を調べていく。
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