2022年度は、セルロースナノファイバー(CNF)分散系流体(濃度は0.3 wt%から1.5 wt%)のレオ・オプティックス計測および平面流れにおける繊維配向場の計測を遂行した。 レオ・オプティックス計測は、レオメータと偏光イメージングカメラを組み合わせたシステムで行った。これにより、レオメータが計測する力学的物性と偏光イメージングカメラによって計測される配向現象の同時計測が可能となる。サンプルの降伏現象の詳細を調べるために、試験手法は応力増加試験を採用した。その結果、濃度が1.0 wt%以上のサンプルにおいて、2回の降伏挙動が発生すること、そして、2回目の降伏はせん断速度に依存することが明らかになった。さらに、2回目の降伏が発生する前に流動を停止させると、配向がランダム化せずに、ある一定の繊維配向状態を保ったまま残ることも見出した。一方、2回目の降伏後に流動を停止した場合は、停止後にサンプルの配向は無秩序な状態へと緩和することを観測した。このことから、あるせん断速度以下で流動させ停止させた場合は、流動中に形成される弱いゲル状の構造を停止後も維持することがわかった。 平面流れにおける繊維配向場の検討は、平面急縮小流れを主に対象として行った。縮小は、急縮小流路とテーパー型流路を用いて、縮小場と配向場の関係を詳細に調べた。その結果、縮小流れが生じている領域では繊維は流れ方向に強く配向するものの、その程度(配向の強さ)は、急縮小型の流路が最も大きいことが明らかになった。これはテーパー型と急縮小型で発生する伸長速度の分布に違いがあるためと考えられるものの、速度場計測を行っていないため、今後、速度場との定量的な比較を行う必要がある。
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