研究実績の概要 |
本テーマは,車体重量を抜本的に軽量化するための新規材料として期待されるマグネシウム合金を,軽量材料として広く用いられるアルミニウム合金と組合せ,輸送機器の適材適所に取り入れようとする研究である。これには信頼性の高い接合技術が必要であるが,両合金は難溶接材である。これを克服するために本研究では「爆発圧着(爆着)法」を適用した。爆着法は固相接合の一種であり,合材の上に配置した爆薬の一端を起爆することで,合材を母材に衝突させ接合する手法である。接合速度が高速であることから,両合金の接合時に問題となる「脆性的な金属間化合物」が界面に形成しづらくなる。さらには,爆着材の接合界面は波形状であり,アンカー効果による強度上昇が期待される。 本研究において,汎用マグネシウム合金(AZ31, AZ61およびAZ80)とアルミニウム合金(A6005C)を爆着法にて接合したところ,界面には極薄く中間層の形成が認められ,その厚みはマグネシウム合金の種類(アルミニウム濃度の違い)によって変化した。従来の接合手法では接合界面に形成する中間層を1μm以下の厚みに制御することが困難であり,爆着法の有用性は明らかである。また,実用上における,残留応力を取り除くための熱処理を考慮し,爆着材に焼鈍処理を施すと,接合界面の中間層の厚みが大きくなり接合強度が低下した。合金組成を変化させることによっても中間層の厚みは大きくなるが,接合強度の低下は小さい。これは,中間層を構成する金属間化合物相の差であり,熱処理材では脆いβ-Al3Mg2相が接合界面に形成し接合強度が低下することが分かった。 接合界面における残留応力状態を放射光X線により評価した結果,マグネシウム合金側で引張,アルミニウム合金側で圧縮の残留応力が得られた。焼鈍時間の増加に伴い残留応力は低下した。
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