多結晶金属材料の粒界における溶質偏析は、材料の諸性質が大きな影響をおよぼす。本研究では、BCC鉄におけるCやP、N、Snに着目し、粒界性格の影響を考慮した上で、溶質間相互作用が粒界偏析におよぼす影響を、三次元アトムプローブを用いた定量評価により解明した。Fe-P二元合金では、Pの偏析量が粒界方位差とともに増加した。その他のFe-X二元合金における大角粒界では、溶質偏析量が添加量とともに線形的に増加せず、溶質間の反発的な相互作用が見られた。さらに、Fe-P-CとFe-Sn-C三元合金では、PとSnの偏析がC添加により抑制される傾向が見られ、Cとの反発的な相互作用が寄与することが明らかとなった。
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