研究課題/領域番号 |
21K14442
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研究機関 | 都城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
瀬川 裕二 都城工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00757388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プレス成形 / トライボロジー / 超音波 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究は,フェーズドアレイ超音波によるIoT (Internet of Things)を利用した難加工材の板成形におけるトライボ状態(摩擦接触状態)の可視化を実現するシステムの開発を目的とする。金属プレス成形では,従来から抜取り検査が主流となっているが,不良品流出リスクが無視できない。特に,高張力鋼などの難加工材のトライボ状態は非常に過酷である。本研究では,従来のセンサより広範囲に,かつ直感的に評価できるフェーズドアレイ超音波を利用して工具と材料のトライボ状態を調べる。 初年度は加工中にフェーズドアレイ超音波計測を行うために,フェーズドアレイプローブが組み付け可能な摺動装置を製作した。この摺動装置は板成形における金型と板の摺動を再現する装置である。実験ではファイバースコープによる接触面の観察も同時に行うため,上型の一部をガラス工具に置き換えた。ガラス工具を使用した金型一式は万能試験機に組み付けることで引抜き加工と同時に接触面の評価を可能にする摺動装置となる。被加工材となる板に塗布する潤滑剤には,通常使用されるプレス加工油剤の代わりに当たり面検査塗料で使用されるレッドペーストを使用することで,接触海面に入り込んだ潤滑剤の流動性を確認できるようにした。実験した結果,板を引き抜いて摺動が進むにつれてレッドペーストの枯渇が起きると,フェーズドアレイ超音波の計測結果に変化が現れ,板と金型の接触状態の変化をフェーズドアレイ超音波により捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実験装置の製作と可視化実験を実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
被加工材を純アルミニウムから難加工材に変更し,摺動試験と超音波計測を行う。フェーズドアレイプローブとマイクロスコープが内蔵された深絞り加工用の金型を製作し,絞り加工中の接触面のモニタリング実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は実験装置の製作に係る材料費を計上していたが,想定していたよりも費用が発生しなかったため,次年度使用額が発生した。 次年度は,本格的な実験用金型を製作する予定なので,金型製作費や計測に適したプローブの購入等に使用する予定である。
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