研究課題/領域番号 |
21K14446
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安達 謙 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10880057)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クロムめっき / 合金めっき / 濃厚水溶液 / 電気化学 |
研究実績の概要 |
飽和溶解度に近い高濃度で金属塩を溶解した濃厚水溶液は、通常の水溶液にはない電気化学特性を有することから近年注目を集めている。申請者らは濃厚水溶液中でのみ実現できる金属電析の研究に取り組み、従来は六価クロム浴でしか得られなかった結晶性金属クロムの硬質めっきが、濃厚水溶液系めっき浴を用いることで三価クロム浴から得られるようになることを報告した。六価クロム浴はその強い酸化性雰囲気のために同一浴中で異種金属イオンを還元することが困難であるが、三価クロム浴であれば多様な金属種とクロムの共析が可能になると期待される。本研究では、単一クロムめっきが得られる濃厚系三価クロムめっき浴をベースとして異種金属イオンを加えた合金めっき浴を調製し、新規クロム系合金めっきの開発に取り組む。電気化学測定によりクロムと多様な異種金属イオンの共析挙動に関して系統的な調査を行い、得られる合金めっきの組成や物性と合わせて整理する。従来の六価クロム浴および三価クロム浴をベースとする合金浴では達成されなかった、非金属相を含まない優れた物性を有する新規のクロム系合金めっきを得ることを目的とする。 今年度は簡易な組成の電解浴を用いて電解試験によるスクリーニングに取り組み、クロムと亜鉛の塩を含む混合浴からは、クロムと亜鉛の両方の金属相を含む電析物が得られることがわかった。鉄やマンガン、ニッケルとの混合浴からは、酸化物や水酸化物を多く含む黒色の電析物が得られる傾向がみられた。今後はクロム-亜鉛の組み合わせを中心とした合金電析に関する検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はクロムとの合金電析に取り組む対象の金属として、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、モリブデンに着目し、簡易な組成の電解浴を用いて電解試験によるスクリーニングに取り組んだ。このうちの多くは単一浴を用いた場合は金属光沢のある電析物が得られるが、クロム塩と他の金属イオンが共存する場合は、他方の電析が起こらない電解条件においても黒色の酸化物を多く含む電析物が得られる傾向があることがわかった。クロムと亜鉛の塩を含む混合浴からは、クロムと亜鉛の両方の金属相を含む電析物が得られた。今後はこの組み合わせを中心とした検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのクロム合金めっきを試みた報告では非金属相を巻き込んだ複合めっきしか得られないが、濃厚水溶液を活用する本手法は従来法と異なるメカニズムによりクロム電析が可能となるために、クロムイオンと異種金属イオンの競合的な共析機構の検討が初めて可能になる。クロム塩と他の金属イオンが共存する場合は、他方の電析が起こらない電解条件においても黒色の酸化物を多く含む電析物が得られる傾向があることがわかった。金属電析が起こらない電解条件においても、たとえば低級酸化物や水酸化物などの析出が発生し、他方の金属電析と競合するためと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった実験装置について、中古品を入手できたために購入を次年度以降に延期するか、他の物品への流用を検討する。
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