2022年度に課題となった触媒調製方法の改善策として、脱気操作を加えた。 (ii) 液相反応のモデル反応を検討するために、クロスカップリング反応によるビアリール化合物の合成反応装置を構築し、反応速度パラメータの取得を進めた。層流となる低レイノルズ数(~1)の条件下において、粉末触媒に比べて構造体触媒では反応性能が有意に低下し、2021年度に開発した指標においても下回った。数値流体力学(CFD)計算により、濃度等の各種分布を取得したところ、等温条件のもとで固体領域(固体触媒が存在する反応領域)近傍の流体領域において、律速段階の主要因となる濃度勾配が見られた。構造由来の濃度勾配の改善が有意に見られなかったともいえる。 使用した粉末積層造形装置では、製作可能な構造体が約2 mm以上の孔を有する制限があり、孔サイズを縮小した濃度勾配の改善に限界があった。液相反応系においては、より微細な造形を可能にする装置ないしは技術が必要である。 (iii) 気液二相反応のモデル反応を検討するための、ニトロベンゼンの水素化反応の合成装置を構築した。反応速度パラメータの取得には至っていないが、(ii)と同様の律速段階と見られる、反応性能の低さが示唆された。 約2 mmの孔をもつ構造体触媒が有効であるのは、気相反応に限定され、液相反応には不向きとみられる。
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