今後の研究の推進方策 |
①の目標について,1年目においてTi2O3に限定して確立した合成・分析手法を用いて,Ti3+, Ti4+の混合原子価チタン酸化物の粒子形態を制御し,チタン原子価および粒子形態と酸性質,酸触媒特性の関係を検討する.TiH2を還元剤に用いる方法によって,さまざまな組成の混合原子価チタン酸化物を合成することにすでに成功している.特定の粒子形態をとった原料TiO2を用いることによって,さまざまな低原子価チタン酸化物の粒子形態を制御する.Ti3+, Ti4+の混合原子価酸化物であるTi3O5, Ti4O7, Ti8O15と,Ti2+のみによって構築されるTiOを主な対象とする. 1年目のTi2O3の結果と合わせて,Ti2+ ~ Ti4+までのチタン酸化物の酸性質・酸触媒特性を系統的に調査する.まず,1年目のTi2O3に対する検討に基づいて,球状,ロッド状の中から最も高活性な粒子形態を選定し,その形態をとったさまざまな低原子価チタン酸化物について酸性質・酸触媒機能を検討する.これらの中から最も高活性な低原子価チタン酸化物の種類を決定し,粒子形態を変化させて検討範囲を拡大する.Ti2O3でみられた原子価および粒子形態と酸性質,酸触媒特性の関係が他の酸化チタンにも適用されるか検討し,酸化チタンの酸性質に関する一般的法則があるか検討する. ②の目標について,低原子価チタン酸化物を用いたアニソールの水素化脱酸素反応の検討を進める.まずはTi2O3単味の触媒性能を,反応条件を変えながら系統的に評価する.触媒活性が不十分な場合には,水素活性化能のある金属や金属酸化物などを担持し,Ti2O3を担体として利用した触媒材料の開発を進める.
|