研究課題/領域番号 |
21K14462
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
滝本 大裕 琉球大学, 理学部, 助教 (60806529)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Ptナノシート / メソポーラス / ナノシート骨格 / 電極触媒 |
研究実績の概要 |
Ptナノシートの基礎的な電気化学特性:層状白金酸塩およびそのプロトン交換体(層状白金酸)を合成し,剥離工程により酸化白金ナノシートの合成に成功した。原子間力顕微鏡で観察したところ,酸化白金ナノシートの厚みは1 nm程度であり,単層剥離に成功している可能性を見出した。LbL法により酸化白金ナノシートをSi基板上にモノレイヤーで吸着させ,水素還元を行った。水素還元後のナノシートは,Ptメタルになっていることを,XPSやXRDから明らかにした。得られたナノシートの厚みは0.5 nm程度であった。還元工程により,酸化白金の酸素が抜けたため,厚みが減少したと考えられる。以上の結果をまとめて考察すると,酸化白金ナノシートを水素還元することで,モノレイヤー相当の白金ナノシートが得られることがわかった。これまで報告されている白金ナノシートでは,最薄であることがわかった。ナノシートを炭素担体に担持した触媒を調製し,基礎的な電気化学特性を評価した。その結果,ナノシートは3 nmのPtナノ粒子より高い酸素還元反応活性であることを明らかにした。これは,ナノシートの電子状態および大きな電気化学的活性表面積に起因することを明らかにした。 Ptナノシートを骨格とする三次元構造体の合成:Pt前駆体を鋳型となるメソポーラス炭素に吸着させ,結晶化・炭素除去の工程を実施した。得られたサンプルのSEM観察より,部分的にナノシート骨格の三次元構造体を合成できることを見出した。しかし,肥大粒子が析出している箇所もあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノシートの基礎的な電気化学特性の評価・分析が終了している。また,ナノシート骨格の三次元構造体も部分的に成功している。以上より,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Ptナノシートの基礎的な物性解明:ナノシートの電気化学環境下における安定性について評価・検討する。また,ナノシート自体の安定性に加え,担体材料の安定性についても検討し,活性と耐久性の両方に優れたナノシート担持触媒の開発を進める。さらに,より高い酸素還元反応活性を達成するために,エッジが多く露出したナノシート合成などを検討する。これらを検討し,白金ナノシートの触媒応用可能性を明らかにする。 ナノシート骨格メソポーラス構造体の開発:肥大粒子が析出している原因を検討し,ナノシート骨格で構成されるメソポーラス構造体の開発を進める。現状では,Pt前駆体の担持サイトが確保されていないため,肥大粒子が析出していると考察している。今後,鋳型となる炭素材料の表面官能基量や比表面積など,炭素側の物性に対するPt前駆体の担持サイトについて明らかにし,肥大粒子の析出抑制を狙う。同時に,Pt前駆体の種類についても検討する。これらの関係性を明らかにし,肥大粒子の析出抑制とメソポーラス構造を形成できる適切な合成条件を明らかにすることを目指す。得られたサンプルでメソポーラス構造を形成しているものについては,電気化学測定からナノシート骨格メソポーラス材料の電気化学的活性表面積を評価し,開発触媒の優位性を明らかにする。
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