研究実績の概要 |
本研究では、主にCO2水素化反応に用いる新規な合金触媒の開発を行った。CO2の水素化反応には様々な遷移金属が活性金属(例えば、メタノール合成にはCuやPd, FT軽油合成にはFeやRu, メタン合成にはNiやCo, Ruなど)として作用することが知られている。また、酸性気体であるCO2と相互作用がある塩基性金属の酸化物を担体に用いることで触媒活性が劇的に向上することが知られている。本研究では、これら活性金属上での「合成場」と塩基性金属上での「CO2の活性場」の物理的距離を最短化することで反応が効率的に進行することを狙いとして、金属結合を介して活性金属と塩基性金属が隣接する合金触媒の開発を目指した。高表面積な合金粉末を得るために、溶融塩中でCaH2を還元剤に用いるオリジナルな合成手法を確立した。得られた合金粉末は、Ni2TiAl, TiFe, FeAl, AlCoCrFeNiV, TiNiSi, CaPt2, YIr2であり、XRD測定により単一の結晶構造からなる合金であることが確認された。N2吸着実験の結果より、これらの合金粉末のBET表面積は~40m2/gほどであり、比較的大きな表面積を有していることが確認された。続いて、得られた合金粉末のいくつかの触媒活性を、CO2水素化によるCH4合成、CO水素化によるCH4合成、液相有機合成のCO活性化反応において評価した。その結果、従来の従来の担持触媒と比較して、活性化エネルギーの低下や活性(TOF)向上がみられ、合金触媒にユニークな特性が観測された。関連成果を、7報の学術論文に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの有望な合金粉末(Ni2TiAl, TiFe, FeAl, TiNiSi, AlCoCrFeNiV, CaPt2, YIr2)を合成した。CO2水素化、CO水素化、有機合成におけるCO水素化において、得られた合金粉末のいくつかの触媒活性を評価した。従来の担持触媒と比較して、活性化エネルギーの低下や活性(TOF)向上がみられ、合金触媒にユニークな特性が観測された。関連成果を、7報の学術論文に報告している。
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