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2022 年度 実施状況報告書

糖投与時のマウスにおける臓器連関の代謝フラックス解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K14467
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

大野 聡  東京医科歯科大学, M&Dデータ科学センター, 講師 (60755734)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード代謝フラックス解析 / メタボローム分析 / 反応速度論 / システム生物学
研究実績の概要

生物の代謝の理解には、代謝フラックス(代謝反応速度)の計測が重要である。しかし、従来の代謝フラックス解析手法では、生体内での臓器間の代謝物の移動を考慮できない。本研究では、13C-グルコース投与後のマウスの血液・肝臓・筋肉のメタボロームデータを用いて、糖投与後のマウスの臓器内・臓器間(臓器連関)の代謝フラックスの時間変化を解明する。さらに医学への応用として、肥満モデルマウスに対しても同様の実験・数理解析を行い、肥満に伴う代謝異常を臓器連関の代謝フラックスとして定量的に明らかにする。
当該年度は、13C-グルコース投与後のマウスの血液・肝臓・筋肉のメタボロームデータを計測した。その結果、解糖系の代謝物であるグルコース・グルコース6リン酸・乳酸は、肝臓ではグルコース投与後に濃度が上昇し、13C-で標識された同位体の割合も40%以上まで上昇した。一方で、筋肉のグルコースと乳酸は、肝臓と同様の濃度上昇および同位体割合の上昇がみられたが、グルコース6リン酸の濃度変化は見られず、同位体割合も20%程度までしか見られなかった。これは肝臓と筋肉の臓器で解糖系の活性が異なること、筋肉の乳酸は筋肉の解糖系よりも血液に由来することを示唆している。また、肝臓ではグルコース6リン酸の濃度はグルコースの10%程度であるが、筋肉では4倍程度といったように、代謝物館の濃度も臓器ごとに異なることが観察された。これは臓器間で異なる代謝制御が機能していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

代謝フラックス解析の方法論の開発に成功し、またメタボロームデータも順調に計測されている。次年度以降に実際のデータ用いて代謝スラックスを推定する準備が整っている。

今後の研究の推進方策

前年度に開発した手法および当該年度に計測したデータを用いて代謝フラックスを推定する予定である。代謝フラックスを推定したのちには、糖投与後の各臓器内での代謝フラックスの時間変化や、血液を介して臓器をまたぐ反応経路の代謝フラックス(臓器間の代謝フラックス)の時間変化を明らかにする。具体的には、肝臓での糖生産と糖消費の切り替わり、およびCori回路などの代謝フラックスの時間変化などを定量する。

次年度使用額が生じた理由

実験データについて、一部を他プロジェクトで計測したデータを使うこととなったため差額が生じた。次年度以降に計算機の購入や検証実験に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Trans-omics analysis of insulin action reveals a cell growth subnetwork which co-regulates anabolic processes2022

    • 著者名/発表者名
      Terakawa Akira、Hu Yanhui、Kokaji Toshiya、Yugi Katsuyuki、Morita Keigo、Ohno Satoshi、Pan Yifei、Bai Yunfan、Parkhitko Andrey A.、Ni Xiaochun、Asara John M.、Bulyk Martha L.、Perrimon Norbert、Kuroda Shinya
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 25 ページ: 104231~104231

    • DOI

      10.1016/J.ISCI.2022.104231

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] In vivo transomic analyses of glucose-responsive metabolism in skeletal muscle reveal core differences between the healthy and obese states2022

    • 著者名/発表者名
      Kokaji Toshiya、Eto Miki、Hatano Atsushi、Yugi Katsuyuki、Morita Keigo、Ohno Satoshi、Fujii Masashi、Hironaka Ken-ichi、Ito Yuki、Egami Riku、Uematsu Saori、Terakawa Akira、Pan Yifei、Maehara Hideki、...、Kuroda Shinya
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 13719

    • DOI

      10.1038/s41598-022-17964-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 少数の酵素に対するインスリン依存性リン酸化とアロステリック制御による脂肪細胞の糖代謝制御2022

    • 著者名/発表者名
      大野聡、黒田真也
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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