研究課題/領域番号 |
21K14480
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
江口 大地 関西学院大学, 理学部, 助教 (50844677)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PbS量子ドット / スピロピラン / 励起子素過程 |
研究実績の概要 |
半導体の光励起後に生じるホットキャリアを有効利用することは、単接合太陽電池の光電変換の理論限界を超えることが可能となるため、注目を集めている。そのためには、いかにホットキャリアの緩和過程を遅延させるかが重要な課題となる。近年、電場が緩和過程に関与することが報告されているが、材料設計の観点から包括的な電場の制御が困難である。本研究では、有機配位子保護半導体量子ドットの有機配位子の双極子モーメントが生み出す電場に着目し、ホットキャリアの緩和過程に及ぼす影響を解明する。 本研究では、市販の原料からスピロピラン誘導体とPbS量子ドットを合成し、複合化させ、その励起子素過程の解析を行った。光学測定の結果、PbS-スピロピラン誘導体複合系の過渡状態はマイクロ秒に渡ることが分かった。このことから、励起子素過程を解明するためには、マイクロ秒過渡吸収を測定できる光学系の構築が必要であり、フェムト秒レーザーと同期した光学系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PbS-スピロピラン誘導体複合系の励起子素過程を解明するためには、マイクロ秒領域での光学特性を測定する必要がある。フェムト秒過渡吸収分光測定では、ポンプ光とプローブ光の時間遅延を遅延ステージにより発生させているが、この方法ではマイクロ秒領域の測定は困難である。そこで、関数発生器により時間遅延を発生させ、フェムト秒レーザーと同期した光学系を構築した。この光学系では、標準試料であるTIPS-ペンタセンの三重項を確認している。
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今後の研究の推進方策 |
構築した光学系で、PbS-スピロピラン複合系の励起子素過程を解析し、有機配位子の電場が励起子素過程に及ぼす影響を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験を遂行するために必要な実験器具(攪拌子)を購入予定である。
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