本研究では,窒化物半導体InGaNが本来持たない光機能性をナノ構造の設計により発現することを試み,鏡映対称性を消失させたキラル構造を導入した.キラル構造は左右円偏光に対して屈折率が異なる光学活性を持つため,超小型円偏光光源の実現が期待される. 青色LED基板に水素雰囲気異方性熱エッチング法を施してナノピラー構造を作製した.ナノ構造効果により膜状構造より高い発光強度が得られ,キラルパターンのみ偏光回転が生じたが,厳密結合波解析の計算結果といい一致を示した.偏光回転の生じる波長は周期やピラー径により制御が可能であり,ナノ構造の最適化により可視光領域で大きな偏光回転を得ることができるとわかった.
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