研究課題
若手研究
本研究課題では、量子コンピュータへの応用が期待されるシリコンスピン量子ビットを、位相コヒーレントにトンネル輸送する研究に取り組んだ。トンネル結合を大きく調整することで非断熱トンネルの影響を抑制し、高忠実度での位相コヒーレントなトンネルが可能であることを実証した。さらに、トンネル領域における電子スピンの位相コヒーレンスの理解、トンネル結合の雑音スペクトル推定、電荷雑音源を特徴づける活性化エネルギーの評価など、シリコン電子スピンの位相コヒーレントなトンネル輸送技術の確立に資する成果を得た。
ナノ構造物理
シリコンスピン量子ビットは、制御性と量子コヒーレンスに優れ、集積回路技術と親和性が高いことから、量子コンピュータへの応用が期待されている。本研究課題では、位相コヒーレンスを保ったままこの量子ビットをトンネル輸送する技術の確立と、シリコン量子コンピュータにおける将来的な活用につながる成果を得た。このようなトンネル輸送技術の活用によって、シリコン量子アーキテクチャの結合性や設計自由度の大幅な向上が見込まれ、将来的なシリコン量子ビットの集積化に革新をもたらす技術となりうる。