本研究では、微小空間でのナノ粒子運動を利用した新しい触媒システムの開発を目的とした。触媒粒子が拡散運動することを利用すれば、微小空間で物質を混合することが可能になると着想した。本仮説を実証するために、金ナノ粒子内包型中空シリカ球を合成した。同ナノ粒子は、溶液で満たされた中空シリカ球内部で、電場印加時、解除時ともに時間反転対象型の運動を示すことを実証した。このことから、効果的な混合効果を得るためには更なる検討が必要であることがわかった。一方で、中空殻の多孔性が反応物の物質移動挙動に大きく影響することが明らとなり、中空粒子を用いた触媒システム開発における、シェル細孔構造の重要性を指摘した。
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