研究課題
若手研究
1次元ファンデルワールスナノ材料の物性研究やデバイス応用を進めるために、その物質特性に影響を与える集合体の構造を制御しなければならない。本研究では、極めて細い(直径3原子程度の)遷移金属カルコゲナイド原子細線に着目し、化学気相成長法による集合体の合成に取り組んだ。主要な成果として、(1)長尺かつリボン形状のWTe集合体の合成と(2)カルコゲン化によって、原子細線から層状構造を持つ遷移金属ダイカルコゲナイドのナノリボンを作製することに成功した。
ナノ材料科学
均一な構造を持つナノ物質の集合体の作製は、材料科学の発展において重要なテーマの一つである。ナノチューブなどの1次元物質では構造の不均一性が大きな課題となっている。一方、遷移金属カルコゲナイド原子細線は、均一な結晶構造を持ち、多様な凝集状態を形成することができる。さらに原子細線の集合体の制御と遷移金属ダイカルコゲナイドへの構造変換技術により、新しいナノ構造の合成や新奇物理現象の探求、そして次世代エレクトロニクスの応用が期待できる。