研究課題
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)光熱電変換素子の基盤技術の構築と発展を目的とし、1)微細PNパターニング技術、2)長期性能安定化技術、及び3)高密度アレイ化技術の開発に取り組んだ。1)微細PNパターニング技術については、従来のドーピング液塗布法の欠点である微細性の解決に向け、独自のエアロゾルドーピング法及び装置を開発。本装置を使用することでドーパントのエアロゾルの形成・粒径制御等を実現し、世界初となるエアロゾルドーピングを達成した。エアロゾルドーピング法によるPNパターニングの解像度をEDSにより解析したところ、染み出し長は最小で2 umであり、世界最高の微細PNパターニングを実現した。2)長期性能安定化技術については、ドーピング済みのCNT膜を有機高分子膜でコーティングすることで物理/化学的刺激への耐性を高める技術の開発に取り組んだ。気相蒸着重合によりパリレンを堆積させることで、CNT膜の内部までパリレンを緻密に蒸着、NドープCNT膜を室温大気雰囲気下で保管した際の熱電性能の経時変化を計測した。その結果、コート無しのCNT膜は120日でN型からP型に戻ってしまったのに対し、コート有りのCNT膜は365日以上完全にN型を保持していた。熱電性能の劣化値は10%以内に抑えられており、目標である長期性能安定化を達成することができた。3)高密度アレイ化技術については、レーザーアブレーション法によりCNT膜を1 umの空間解像度で切断する微細加工技術を開発した。次に当該微細加工技術を用いてTHz帯光学フィルタ・センサーを作製。光と熱の効率を最適化することで、センサーの電圧感度を13倍に向上することができた。最後に、開発した高感度センサーを用いた非破壊検査応用に取り組み、医薬品の非破壊分光計測を達成した。
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