研究課題/領域番号 |
21K14503
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
平田 研二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (40828282)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 窒化物 / 圧電体 / 薄膜 / 第一原理計算 |
研究実績の概要 |
Scを添加したAlN(ScAlN)ではSc濃度によって圧電特性が変化し、70%程度になると圧電定数が最大になると予測されている。しかし、これまでの反応性スパッタリング法による薄膜作製では、40%程度のSc濃度が固溶量の限界とされている。本研究ではScAlN薄膜に下地層を導入することで、従来よりも高濃度にScを固溶した薄膜を作製する。これにより、ScAlNの圧電性能を向上させることを目的にしている。 本年度はScAlN成膜の下地層を導入することで、Scを高濃度に固溶したウルツ鉱相の形成の可否を理論計算によって評価した。臨界膜厚の影響を考慮し、下地層とScAlN層の界面に生じる歪エネルギーを計算し、第一原理計算によって求めた生成エンタルピーに反映させた。これにより、ウルツ鉱相と熱力学的に安定性が競合する岩塩相の安定領域を見積もった。その結果、下地層を岩塩相YNの<111>配向膜とした場合、ウルツ鉱相ScAlNと格子定数が近いため、Scを高濃度に固溶する可能性があることがわかった。ScAlNの膜厚が薄いほど高濃度にScを固溶し、70%以上のSc濃度においてウルツ鉱相が安定となる計算結果も得られた。そこで下地層を導入したScAlN薄膜作製の第一段階として、岩塩相YNの<111>配向膜の作製を試みたが、良好な配向膜を得ることはできなかった。次年度は、ScAlN薄膜の下地層として有望な岩塩相YNの<111>配向膜の作製条件を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、高濃度のScを固溶するウルツ鉱相薄膜(ScAlN)を作製するために、下地層として岩塩相YNの<111>配向膜が有望であることを理論計算によって見出した。これにより、当初予定していた研究成果が得られたものと考えている。次年度以降のScAlN成膜における圧電特性の評価にあたって、重要な材料設計指針を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ScAlN成膜の下地層として、岩塩相YNの<111>配向膜の作製条件の最適化を実施する。または、岩塩相YNの<111>配向膜と似た性質の下地層を理論計算によって探索し作製を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンラインでの学会発表となったため、旅費の出費が当初の想定よりも抑えられた。次年度では、ScAl合金ターゲットの購入に予算使用を計画している。また、外部機関の大型計算機の利用料金の支払いにも使用する。
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