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2022 年度 実施状況報告書

蛍光性高飽和磁化ナノ粒子を用いたリソソームの迅速単離技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K14506
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

高橋 麻里  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70868413)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードナノ粒子 / 磁性材料 / プラズモニック材料 / リソソーム / 磁気分離 / プロテオーム解析
研究実績の概要

本研究でリソソームの磁気分離プローブとして利用する予定であった高飽和磁化Fe/FexOyナノ粒子は、合成に必要な試薬である鉄ペンタカルボニルの入手が困難となり、Fe/FexOyナノ粒子の創製を断念した。しかし、これまでに使用したAg/FeCo/Agコア/シェル/シェルナノ粒子は、毒性が低く、リソソームの磁気分離に利用可能なプローブであることが示されたため(ACS Nano 2022, 16, 885)、引き続き同ナノ粒子を用いて検討を続けた。2022年度は、磁気分離を行う細胞の選択および遺伝子改変を行った。具体的には、リソソーム病の一つであるバッテン病に関連するタンパク質CLN3をノックアウト(KO)したHEK293細胞と、野生株のHEK293細胞を比較することにした。CLN3をKOするため、CRISPR-Cas9を使って遺伝子改変を行い、CLN3をコードする遺伝子の1塩基欠損型と10塩基欠損型の細胞株の作製に成功した。これらの細胞株では野生株と比べ、小さいリソソームの数が増えていることが共焦点顕微鏡観察の結果分かった。これがCLN3のKOによる効果かを検証するために、欠損遺伝子を回復させるレスキュー実験を試みた。しかし、CLN3のKOが成功しているかを調べるための分かりやすい表現型がなく、またCLN3のウエスタンブロットではKO細胞からもCLN3が検出されるため、評価が難しいことから、CLN3 KO細胞をリソソームの磁気分離の対象細胞とすることを断念した。新たな対象細胞として、リソソーム病の一つであるニーマンピック病C1に関連するタンパク質NPC1をKOしたMEF細胞とその野生株を比較することにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では、2022年度までに生体分子修飾と磁気分離条件の検討を行う予定であった。このうち、分離条件の検討はすでに完了している。同期化エンドサイトーシス(2023年度実施予定)を行うための、生体分子修飾は持ち越しとなっているが、これまでの知見から、修飾の検討にはそこまで時間は要さないと考えている。生体分子修飾の代わりに、2023年度に行う予定であったプロテオーム解析を行う対象細胞株の選択に着手した。結果として、CLN3 KO細胞はリソソームを磁気分離する対象として使用するには適さないことが明らかとなったが、これらの確認は必要不可欠であり、早めに結論づけることができた。今後の方針として、樹立済みのNPC1 KO MEF細胞を他大学から分けてもらうことがすでに決まっている。従って、全体の流れを考えると、研究は順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後はリソソームの磁気分離においてMEF細胞を対象とするため、ナノ粒子にはマウス由来の上皮成長因子(EGF)を修飾する。EGFと粒子は静電相互作用により結合させる。まずは、MEF細胞の野生株に対して、EGFを修飾したナノ粒子をシンクロナイズドエンドサイトーシスにより細胞内へ導入する。次に、粒子がリソソームに到達するまでの時間を調べる。その後、全ての粒子がリソソームに到達したと判断したタイミングで磁気分離を行う。磁気分離後に、得られたリソソームを質量分析に供し、解析に足るデータが得られる条件を探す。NPC1 KO MEF細胞においても同様に、ナノ粒子がリソソームに到達するまでの時間を調べ、リソソームの磁気分離および質量分析を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] A Robust Nanoparticle-based Magnetic Separation Method for Intact Lysosomes2022

    • 著者名/発表者名
      The Son Le, Mari Takahashi and Shinya Maenosono
    • 雑誌名

      bio-protocol

      巻: 12 ページ: e4453

    • DOI

      10.21769/BioProtoc.4453

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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