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2021 年度 実施状況報告書

磁性ナノ粒子磁気発熱量の実験的予測とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K14512
研究機関名古屋大学

研究代表者

岡 智絵美  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823285)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード磁気発熱 / 磁性ナノ粒子 / 粒子間磁気的相互作用 / シリカ被覆 / 酸化鉄ナノ粒子
研究実績の概要

磁性ナノ粒子の発熱特性はがん治療分野やマイクロデバイス分野で注目されているが,磁性ナノ粒子の発熱量を正確に予測することは現状不可能である.磁性ナノ粒子の発熱量については,2002年に理論式が提唱されているが,この式は粒子間磁気的相互作用を考慮していないため,現実の磁性ナノ粒子の発熱量の予測はできない.本研究では,理論式で考慮されていない粒子間磁気的相互作用の大きさの影響を解明し,理論式を補正した実験式を導出することを目指している.
2021年度は,交付申請書に記載した,①磁性ナノ粒子の合成と粒子間距離制御,②発熱量評価,③粒子間磁気的相互作用評価に取り組んだ.
①磁性ナノ粒子の合成と粒子間距離制御では,共沈法により磁性酸化鉄ナノ粒子を合成し,その粒子をシリカ被覆することで,粒子間距離の異なる磁性ナノ粒子粉末試料を作製した.粒子間距離の範囲は0-14.7 nmであり,これは磁性ナノ粒子表面のシリカ膜厚の2倍と対応している.
②発熱量評価では,作製したシリカ被覆磁性ナノ粒子粉末試料の発熱量評価を実施した.磁場印加条件は,励磁周波数2 MHz,磁場強度50 Oeである.発熱量評価では,実際の発熱量と理論発熱量の比を計算し,評価指標として用いた.
③粒子間磁気的相互作用評価では,磁気特性測定装置 (MPMS) を用いた磁化測定から,Henkel plotsを作製することで相互作用の大きさを評価した.現状,プロット数が少なく,明確な傾向は確認できていないが,粒子間距離増加に伴い,粒子間磁気的相互作用は小さくなるような傾向がわずかに確認できている.
②と③の結果から,粒子間磁気的相互作用の大きさの範囲により,粒子間磁気的相互作用は発熱量に対し,負の相関と正の相関の双方を持つ可能性が確認できている.したがって,補正式の導出では,相互作用の大きさによる場合わけが必要であることがわかった.

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

最終目標の1つである,磁性ナノ粒子の交流磁場中における発熱量を予測可能とする実験式の確立に向けて着々とデータを集めており,おおむね順調に進展していると言える.
磁性ナノ粒子の合成技術や,粒子間距離制御のためのシリカ被覆技術についてすでに習得できており,発熱量評価方法や,粒子間磁気的相互作用の大きさの評価方法も2021年度で確立できた.引き続き実験を進めていくことで,十分な成果が得られる進捗状況である.
本研究では,透過型電子顕微鏡や磁気特性測定装置など,名古屋大学の共用装置を利用している部分がある.これらについては2022年度も引き続き使用させていただけることを確認済みである.

今後の研究の推進方策

2022年度も交付申請書の研究実施計画にある①磁性ナノ粒子の合成と粒子間距離制御,②発熱量評価,③粒子間磁気的相互作用評価を進め,④磁性ナノ粒子の発熱量算出式導出と応用につなげる.
まずは,引き続き共沈法により合成した磁性酸化鉄ナノ粒子を用い,粒子間距離を制御した磁性ナノ粒子粉末試料を作製し評価を行う.現状得られている試料の粒子間距離範囲は,0-14.7 nmである.この粒子間距離範囲を広げたデータを取得することを目指す.これにより,現状よりも広い粒子間距離範囲で見た,粒子間距離,粒子間磁気的相互作用,発熱量の関係を明らかにする.
これとは別に,オレイン酸鉄熱分解法による磁性酸化鉄ナノ粒子合成にも着手する.共沈法による磁性酸化鉄ナノ粒子合成は,簡便であるが,粒子径分布が多分散であるという問題がある.オレイン酸鉄熱分解法の方が粒子径の均一な粒子が得られることがわかっているため,2022年度はこちらの方法での粒子合成も試験していく.これにより得られた粒子についてもシリカ被覆を実施し,粒子間距離を制御した熱分解法合成磁性ナノ粒子粉末試料を作製する.そして,共沈法合成粒子と同様に,粒子間距離,粒子間磁気的相互作用,発熱量の相関を調査する.
これにより得られた結果をまとめ,理論式を補正した,磁性ナノ粒子の交流磁場下における磁気発熱量を予測する実験式の確立を行う.そして,得られた実験式を用い,申請者が開発を目指している,磁性ナノ粒子の発熱を利用し,遠隔駆動するマイクロバルブの設計に応用する.

次年度使用額が生じた理由

磁場印加用コイル内の試料の様子を観察するための,超長焦点顕微鏡を購入するために,2021年度交付金の一部を2022年度に繰り越すこととした.コイル内の試料観察には,焦点距離20cm程度が必要であり,通常の実体顕微鏡では観察が不可能であり,セルミックの顕微鏡を購入する必要があった.この顕微鏡が210万円程度するため,2022年度交付金だけでは不足であり,2021年度交付金を繰り越した.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] シリカ被覆磁性ナノ粒子の磁気発熱量評価2021

    • 著者名/発表者名
      木村優介,櫻井淳平,秦誠一,岡智絵美
    • 学会等名
      第45回日本磁気学会学術講演会
  • [学会発表] シリカ被覆磁性酸化鉄ナノ粒子の磁気発熱量評価2021

    • 著者名/発表者名
      木村優介,櫻井淳平,秦誠一,岡智絵美
    • 学会等名
      日本機械学会2021年度年次大会
  • [備考] マイクロ・ナノプロセス工学研究グループWebページ

    • URL

      http://mnm.mae.nagoya-u.ac.jp/

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公開日: 2025-12-26  

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