がんは本邦における死因の27%強を占める最大の要因である。がんは腫瘍血管と呼ばれる毛細血管を誘導し、栄養を得て増殖し、周囲の組織に浸潤し、最終的には腫瘍血管を通じて他の臓器へと遠隔転移する。がんによる死亡の約90%が転移によると言われている。このため、がんの転移過程の解明と、転移過程をターゲットとした抗がん剤開発が喫緊の課題であり、転移過程の解明及び抗がん剤開発を推進するためのモデルが求められている。本研究では血管付きの3次元がん組織の開発に取り組み、血管新生、浸潤、血管外侵入等のがんの転移において重要な現象の再現に成功した。また抗がん剤やT細胞免疫療法の評価への利用可能性を示した。
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