研究実績の概要 |
水銀フリー温度目盛の実現に向けて、水銀の三重点(T90準拠で234.3156 K)の代替候補の一つとして、不純物分析を行った高純度キセノンガスを用いて新規三重点セルを作製した。今後、作製した三重点セルを用いて、Xe三重点温度の不純物依存性に関する評価を行う予定である。また、これまで開発してきた代替候補の一つであるSF6の三重点(T90準拠で223.5565 K)を用いて標準白金抵抗温度計(SPRT)を校正、電気抵抗の温度依存性を基準関数・偏差関数を用いて構築し、水銀の代替としてSF6を用いた水銀フリー温度目盛(TSF6)を実現した。TSF6のノンユニークネスを評価するとともに、既存の国際温度目盛(T90)と比較評価した結果、TSF6とT90はT90実現の不確かさの範囲で同等であることを明らかにした。本成果について国際計測連合世界大会(IMEKO2021)にて発表、proceedings 1件の投稿を行い、Best Paper Awardを受賞した(Y. Kawamura and T. Nakano, Evaluation of the temperature scale of SPRT calibrated at the triple point of sulfur hexafluoride, Measurement:Sensors, 18, 100211, 2021)。 一方で、水銀の三重点の代替候補のうちSF6の三重点、CO2の三重点(T90準拠で216.5909 K)の熱力学温度Tを、熱音響気体温度計(AGT)で計測することを目指した準備も進めている。開発したSF6の三重点セル、CO2の三重点セルを用いて評価したSPRTをAGTに組み込み、AGTを冷却するための恒温槽のセットアップを行った
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