研究実績の概要 |
昨年度作製した高純度キセノンガスを用いた新規三重点セルを用い、キセノンの三重点を高精度に実現・評価したところ、実現の不確かさが0.33 mKと、水銀の三重点実現と同等の不確かさで実現可能であることを示した。また、開発したキセノンの三重点実現装置、二酸化炭素の三重点実現装置を用いて標準白金抵抗温度計(SPRT)を校正、電気抵抗の温度依存性を基準関数・偏差関数を用いて構築した水銀フリー温度目盛TCO2、TXeを評価した結果、既存の国際温度目盛T90との差TCO2-T90は最大でも0.15 mKである一方で、TXe -T90は最大で0.35 mKとなった。ただし、この差はT90の実現不確かさの範囲であることから、水銀フリー温度目盛は既存の国際温度目盛の代替として利用可能であることを明らかにした。本研究成果について、応用物理学で発表を行った。また、昨年度に国際計測連合世界大会(IMEKO2021)にて受賞した、SF6を用いた水銀フリー温度目盛についての招待論文が一報発行された(Y. Kawamura and T. Nakano, Non-uniqueness and propagating uncertainties of the temperature scale realized using the triple point of sulfur hexafluoride, Measurement;Sensors, 24, 2022, 100464)。一方で、水銀の三重点の代替候補のうちSF6の三重点、CO2の三重点の熱力学温度Tを、熱音響気体温度計(AGT)で計測することを目指している。本年度は低温高圧下でAGTを稼働させるためのシステムを作製し、そのテストを行った。
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