①水熱合成バルク酸化亜鉛単結晶を機械的にないしは化学的にエッチングして薄膜化し、光の波長程度の厚さの酸化亜鉛活性層を形成する方法を発展させた。化学機械研磨ないしは反応性イオンエッチングにより酸化亜鉛の表面近傍に導入され、励起子寿命を悪化させる要因となる構造欠陥ないしは空孔型欠陥等を、X線光電子分光、X線回折、時間分解フォトルミネッセンス法等により定量化し、それらの導入を最小限に抑えるプロセス条件を見出した。本成果は、国際学会(Materials Research Meeting)および査読付き学術論文(Journal of Applied Physics)において発表した。
②光励起型の酸化亜鉛微小共振器を作製し、角度分解反射測定により共振器ポラリトンの上枝・下枝のエネルギー分散を測定した。構造の不完全性により一部の観測角度におけるエネルギー計測には至っていないが、共振器ポラリトンの安定性指標であるラビ分裂量は、これまで報告されている実験値の最大値(130 meV、低温)よりも数十 meV高いことを確認した。ポラリトンレーザの安定室温動作に繋がる重要な成果であると考えられる。
③反応性ヘリコン波励起プラズマスパッタ法によりp型酸化ニッケル薄膜を堆積し、堆積温度、酸素混合率等が酸化ニッケル薄膜の電気特性、結晶配向、光透過率などに与える影響を詳細に評価した。低い比抵抗と高い近紫外線透過率を両立させるp型酸化ニッケル薄膜の堆積条件を見出した。電流注入型素子を作製し整流特性を確認した。
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