研究課題/領域番号 |
21K14551
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
森竹 勇斗 東京工業大学, 理学院, 助教 (50783049)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プラズモニクス / メタマテリアル / ナノフォトニクス / 非エルミート系 / 相変化材料 |
研究実績の概要 |
本研究は、非エルミートフォトニクスを金属ナノ構造から構成されるプラズモニック系で実現することで、質的に新たな機能をもった光学素子を実現することを目的としている。具体的には、金ナノバー構造の結合系に相変化材料であるGSTを装荷することで、非エルミート系を実現し、例外点における特異な固有状態を利用して円偏光変換素子等への展開を目指す。 本年度は、実験に向けた作製プロセスの検討と予備実験を行った。プロセスの検討では、金属構造と相変化材料の具体的な作製プロセスを検討した。予備実験では、スパッタリングにより相変化材料の薄膜試料を作製し、そのエリプソメトリ測定から、材料が狙い通りに成膜できていることを確認した。また、相変化材料をホットプレートで加熱することにより、相変化することも確認した。一方、ホットプレートによる加熱ではなく、レーザ照射によって相変化を起こすことができれば、可逆的かつ制御性の高い動的デバイスを実現できる。その実現に向け、レーザ照射による相変化実験を行うための実験系を構築した。現状、レーザ照射による相変化は未確認だが、今後、実験条件の最適化を行う。 一方、当初計画になかった、非エルミートプラズモニック系の例外点を用いた新たな現象として、ホイヘンスダイポールによる一方向放射現象を数値計算により発見した。現状、電波領域の波長における解析にとどまっているが、これをプラズモニック領域に拡張する方法について、今後検討していく。 また、近年、注目を浴びている非エルミートスキン効果をナノフォトニクス系で実現する構造として金属メタ表面構造を検討した。今後、実験的な観測に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主眼である動的プラズモニック素子の実現に向け、素子の設計はほとんど完了している。現在は作製に向けてそのプロセスの検討と、相変化材料(GST)の基本的な特性に関する調査を行っている。プロセスの検討においては、これまでの微細加工の経験から、作製が可能なパラメータの設定を行っている。相変化材料については、スパッタリングによる薄膜試料を作製し、そのエリプソメトリ測定結果から、先行研究と近いGST薄膜が成膜できていることを確かめた。またホットプレートにより試料を加熱することによってアモルファス相から結晶相への相転移が起きていることも確認した。ただし、この方法では、逆の結晶相からアモルファス相への相転移ができないため、パルスレーザ照射による相転移を検討し、その予備実験を行うための実験系を構築した。今後、実験条件の最適化を行っていく。 一方、当初計画にはなかったが、例外点における特異な固有状態を別の光学現象に展開できないか、という疑問のもと、他の現象についても検討を行ってきた。その結果、例外点を用いることで、ホイヘンスダイポールを形成できる構造を見出し、それによる一方向放射現象の発現を発見した。現状、電波領域の波長における検討のみだが、これを短波長化し、プラズモニック構造で実現することでさらに新奇な光学素子を提案・実現したい。 また、近年、非エルミートスキン効果と呼ばれる非エルミート系特有の局在現象が注目を集めている。これまでナノフォトニクス系この効果を検討した実験は報告されていない。そこで光非エルミートスキン項を実現する構造として金属メタ表面構造を検討し、スキン状態の発現を数値的に確かめた。今後、実験的な観測に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
22年度では、主にプラズモニック光学素子の作製を進める。まずは、基本となる金属ナノ構造の形成とGST薄膜の装荷に取り組む。また、透過・反射光の偏光状態を調べるための光学系の構築を行う。相変化は、最初ホットプレートによる加熱により行い、動作確認をする。それと並行して、レーザによる相変化にも取り組む。 また、当初計画になかったホイヘンスダイポールの形成による一方向放射現象や非エルミートスキン効果の観測について、実験を行って行く。できるだけ、メインテーマの作製技術が援用できるような構造や実験系を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、構造の設計を完了させ、実験に向けた機材を年度内に購入する予定であったが、最近の国際情勢の影響もあり、納期が大幅に遅れる基材があったことと、実験室の移設があったため、次年度以降に機材を購入することにしたため
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