研究課題/領域番号 |
21K14552
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
道根 百合奈 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 特任助教 (00873358)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 光学素子 / 高強度レーザー / 集光光学素子 / イメージング / レンズ / オゾン / 高速撮影 |
研究実績の概要 |
我々が既に原理実証をしているオゾンガス媒質レンズでは、フレネルゾーンプレートのように、湾曲した不等間隔の屈折率変調構造を紫外レーザーによってガス中に生成することで、通常の屈折レンズと同じ機能を持たせている。しかし、紫外レーザーのパルス幅の制約により、数μm以下の空間変調間隔が得られず、変調間隔方向に回折領域が制限されてしまうことが実験的に明らかになっていた。この問題を解決し、撮像レンズとして利用できるようにするための、高NA化に対応するレンズ開発を行った。ガスレンズの焦点距離は不等間隔屈折率変調構造の曲率半径に依存し、曲率半径が小さい=焦点距離の短いレンズとなり、高NAレンズに適したものとなるが、焦点距離の短いレンズは変調間隔が急激に変化することになるため、平行光に対しては数100um程度の回折領域しか得られない。そこで、ガスレンズに入射する光波面の曲率がガスレンズの変調間隔それぞれに適した入射角となるような光学系を設計し、実験を行ったところ、ガスレンズに対して拡散するレーザー光を入射した際に、3mm^2径の紫外レーザー照射面積全体で回折集光させることに成功した。さらに、回折集光後の波面は、ほぼ理想的な集光条件となっていることが確認できた。このガスレンズ条件を平行入射するレーザー光に対して実現するためには、紫外レーザーの空間周期的照射条件をわずかに変調させることで再現でき、これに対しての開発も進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
撮像レンズとしてNAの大きなガスレンズを開発することが当初計画としてあり、本年度はこの目的が達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
高NAのガスレンズ開発を目標に、大口径の開口オゾンガス領域を生成する技術開発を行う。また、より短焦点のガスレンズ開発も進める。これにはサブナノ秒の紫外光源を準備し、変調間隔を1um程度まで短縮させることで達成できる見込みとなる。紫外光源開発も含めて進める必要があるが、外部制御が可能なサブナノ秒小型半導体レーザーを種光にし、基本波光をファイバーにより増幅を行ったのち、2段階の波長変換を行うことで所望の紫外光を得る予定である。
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