研究実績の概要 |
前年度より継続して開発を進めているガス媒質レンズでは、ナノ秒紫外レーザー光源を使用することで不等間隔の曲率を持った回折レンズを作成し、さらに、このレンズに入射する光波面の曲率を、レンズの変調間隔それぞれに適した入射角となるようにすることで、高NA化(回折領域の大面積化)を行っていた。実際の撮像レンズとしては、回折領域の大面積化とともに、より短い焦点距離にすることも高NAレンズの条件となるが、これには、より変調間隔が狭く・時間的変調周期の短い粗密波の励起を行う必要がある。そこで、回折レンズ生成光源として新たに100psから2nsのパルス幅可変紫外レーザー光源を開発し、ガス中での粗密波生成試験と、密度変調量の計測を行った。具体的には、光源は制御するレーザーとの同期を考慮し、外部クロック同期が可能な電気的変調信号をファイバーシステムで増幅するシステムを構築し、その後、再生増幅器増幅を行い、およそ1.3mJ, 500mW, 400Hz繰り返し周波数の赤外光源を得た。最終的に2段階の波長変換を行うことで、所望の紫外レーザー光源が得られる。開発した光源による平行平面のガス回折格子を生成したところ、立ち上がり時間がおよそ13ns、回折格子間隔としては12um程度の密度変調構造が生成可能であることを観測できた。この格子間隔と立ち上がり時間から予測される粗密波の速度は、ナノ秒紫外光源と場合と比較してほぼ一致していることも確認できた。
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