前年度に引き続きガス媒質レンズの高NA化のための開発を行った。特にイメージングでは光量、画角を稼ぐために短焦点かつ大面積のレンズが要求されることから、前年度までに短焦点レンズ作成のための紫外光源開発と原理実証試験を行ってきた。今年度は、(1)ガス領域面積の拡大 (2)体積位相レンズ計算機コード の開発を行った。(1)では、厚み5mm程度のオゾンガス層流窓が、外部に漏れ出ることなく安定に供給される技術開発が必要になる。そこで、酸素、オゾン、酸素の3層構造のガス流路の開発を行った。これは、外側の流路の酸素ガス流を制御し、極力中心のオゾンガス流路に乱流が生じるのを抑えることを狙っており、実際に流体シミュレーションで流路構造や流速等の最適化後、光造形3Dプリンターによっていくつかの試作を行った。その後、紫外LEDによりオゾン流を観測したところ、下流部分にわずかなガス漏れはあるものの、ある程度設計通りに乱流が抑えられ、3㎝という長尺の流路でも一様なオゾン層流状態が保たれることが確認できた。一方(2)では、厚み5mmの体積位相レンズ(フレネルレンズ)に対し、どのような入射角度のレーザーが、どのような発散角で入射すれば、大面積で理想的な回折集光条件になるのか、計算機コード開発を行った。これにより、イメージング物体と撮像点の関係が明らかになり、かつそれが高NAガスレンズで達成できる条件が探索できるようになった。
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