研究課題/領域番号 |
21K14561
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
張 承賢 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90782300)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習 / 大体統計モデル / ベイズ推定 / 異常検知 / シナリオ推定 / シビアアクシデント |
研究実績の概要 |
本研究では原子力発電所の重大事故発生時、不確かさが多い中、大体統計モデルと機械学習を用いた事象進展予測モデルを構築する目的とする。事象進展を予測することは、ベイズ推定を利用した逆推論を行うことで、システムから観測されるデータが、機械学習および大体統計モデルによって作られた尤度関数からどれほど離れたかに着目することで、そのデータが観測された際の元のシナリオを推論することで、事象進展を予測することが可能である。 本年度の研究では、ベイズ推論を用いた異常検知および異常発生時の真のシナリオを推定するモデルを構築し、モデルの妥当性評価および精度検証を行なった。検証に使われたのは、理論的な支配方程式が容易に導ける原子炉建屋を模擬した多質点系応答解析モデルを構築し、系を構成するバネおよびダンバーの性能変化が発生した際、異常の有無、さらには性能変化を逆推論する課題について評価を取り組んだ。3層体型に関する評価の結果、バネ係数の変化について正常値から10%減少から50%減少までの10%刻みの5つのシナリオを準備し、異常有無、シナリオ推定を実施した結果、いずれも真の状態を推定することができることが確認できた。 研究で元々予定していたのは、シビアアクシデントコードを用いた重大事故発生時のシステムの挙動に関する検討ではあったが、大学レベルで使用可能なシビアアクシデントコードの入手が困難な状況であるため、今年度は使用可能な解析コードを使って、関連検討を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究で元々予定していたのは、シビアアクシデントコードを用いた重大事故発生時のシステムの挙動に関する検討ではあったが、代表者の所属機関の移動に伴い、新しい所属先で、米国原子力規制委員会が作ったシビアアクシデント解析コードをライセンス問題で使用することが難しくなった。代わりに使用可能なものを探したものの大学レベルで使用可能なシビアアクシデントコードの入手が困難な状況であるため、研究が大幅に遅れている。 今年度は簡易コードを含めて使用可能な解析コードを使って、関連検討を行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
大学レベルで入手可能なシビアアクシデント解析コード(簡易評価コードを含め)を入手し、事象進展の評価を実施し、機械学習モデルを構築することで、元の計画通りに研究が進められるよう努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に使用する米国原子力委員会のシビアアクシデントコードのライセンス料(2ヵ年分)を経常していたが、計画通りにライセン契約が締結できなかったため、余剰金が発生した。今年度はこちらの予算を使い、別の解析コードの入手に力を入れたい。
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