研究課題/領域番号 |
21K14570
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
Yu Juhyeon 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所研究所 核融合炉材料研究開発部, 研究員 (20825757)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | micro tensile test / single crystal tungsten / anisotropy |
研究実績の概要 |
2022年度では画像データ解析手順を決定し作業効率を向上させると共に多結晶タングステンの破壊メカニズムを理解するために単結晶タングステンを用いて様々な結晶方位による影響を検討した。 多結晶タングステンを用いた試験結果ではマイクロ引張強度は1700MPa程度を示す一方、全伸びには大きいばらつきが確認できた。この全伸びのばらつきは結晶方位による影響を受けていると考え、(100)、(110)面の2種類の単結晶タングステンを用いて試験を実施した。 単結晶タングステンの方位はTEMのディフラクション及びEBSDにより確認し、引張軸に合わせた。試験結果では明確な結晶方位依存性が確認できた。[100]方位はすべて20%以下の全伸びと共に2500MPa程度のマイクロ引張強度を示した。[110]方位は30%以上の全伸びと共に2000MPa程度のマイクロ引張強度を示し、全伸びと共にマイクロ引張強度にも結晶方位依存性を確認した。また、参考のため(111)面のすべり方向を模擬した試験では最大150%以上の全伸びと共に1700MPa程度のマイクロ引張強度を示し、結晶方位異方性はすべり系により発生していると考える。 多結晶タングステンのマイクロ引張試験結果ではマイクロ引張強度が比較的に低いすべり方向の結晶の破壊が先行していることから1700MPa程度のマイクロ引張強度を示していると考えられる。また、全伸びのばらつきはすべり方向の結晶の分布や比率により発生していると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度では画像データ解析の手順やファクターなどを決定することから作業効率を飛躍的に向上させた。 また、マイクロ引張試験時の結晶方位による最大引張強度及び全伸びの異方性を確認することから多結晶タングステンの試験結果で発生していた全伸びのばらつきの原因を予測した。この結晶方位による異方性データを多結晶タングステンの試験結果に適用することで多結晶タングステンのマイクロ引張メカニズムの解析の見込みを得た。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、結晶方位による異方性の可視化と共に得られた異方性データを用いて多結晶タングステンの全伸び解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延に伴い実験や出張、学会などの計画に狂いが生じたため、次年度使用額が生じた。 当初計画していた学会参加について次年度開催される国際学会への参加を進めている。
|