研究課題/領域番号 |
21K14586
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森本 将行 金沢大学, ナノマテリアル研究所, 特任助教 (60854669)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | AFM / 固液界面 / ナノ計測 / 機能性官能基 |
研究実績の概要 |
固体表面と溶媒分子やイオン種、溶質分子などの間で起こる物理化学現象を直接計測することは、そのメカニズムを理解することに留まらず新規材料設計に大きく貢献する。この液中で起こる原子または分子スケールの物理化学現象を解明するために、原子分解能計測が可能な原子間力顕微鏡(AFM)計測技術と、固体表面の水和構造を計測することができる3次元走査型原子間力顕微鏡(3D-AFM)計測技術の進展が期待されている。そこで、AFM計測時の液中雰囲気を精密に制御することができるAFM計測技術を新たに開発し3D-AFMと組み合わせることで、固体表面やその近傍に存在する水分子やイオンなどの間に働く相互作用力を反映した吸着や脱着現象、さらには触媒反応メカニズムの解明を目的として研究を推進している。 2021年度は電荷を有する機能性官能基が規則的に配列したモデル表面を新たに構築し、液中で3D-AFM計測を行うことで、固液界面における機能性官能基とイオン種や溶媒分子との間に働く相互作用力の解明に取り組んだ。水溶液中で3次元計測することにより、電荷を有する機能性官能基と水分子を含めたイオンとの間に働く相互作用力を計測することが可能になる。このイオンの濃度やイオンの種類を変化させることで、電荷を有する機能性官能基周辺の物質分布に与える効果を検討した。これにより、機能性官能基とイオンとの間に働く相互作用力を反映した物理化学現象について考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電荷を有する機能性官能基とイオンとの間に働く相互作用力の3次元計測まで行おうことができている。さらに、表面の官能基と分子との間に働く相互作用力を計測するための新たなモデルも準備している段階である。また、Z方向の力変化から得られる様々な特徴量の抽出および解析にも着手しており、ほぼ順調に進展しいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
固体表面やその近傍に存在する水分子やイオンなどの間に働く相互作用力を反映した吸着や脱着現象、さらには触媒反応メカニズムの解明のために、引き続きモデル表面を構築し液中で相互作用力計測を行う。AFMによる相互作用力の計測ではZ方向の力変化から様々な特徴量が多量に得られるため、目的とする相互作用力に由来するパラメータを効率的に抽出し解析する手法の開発が重要であると考えている。また、計測で得られた相互作用力と計算で得られる情報を併用しエネルギー論的観点からメカニズムの解明に取り組む必要があると考えている。
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