本研究では4fおよび3d金属イオンと有機ラジカル(2pスピン)を組み合わせた分子性磁性体の開発を目指してきた。1つの分子に化学的性質が異なる3種のスピン系を組み込むことは挑戦的な課題と言える。ここでは2種の金属イオンに選択的に配位できる有機ラジカルを用いて錯形成を試みた。3dおよび4f金属イオンのイオン半径やHSAB則に基づく親和性より、Cu(II)およびLa(III)の組み合わせにおいて目的とする4f-3d-2pヘテロスピン系錯体の構築に成功した。また、異なる配位子のCo(II)金属錯体では非共有結合性の多孔質構造体の開発に成功し、溶媒分子に依存して逆スピン転移や熱履歴現象を示した。
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