研究成果の概要 |
o-ベンザインは,芳香環を迅速に官能基化できる合成戦略上の利点から,天然物の多段階合成における中間体として,あるいはアセン類や高歪分子の合成手法として確立されている。一方,o-ベンザインの異性体であるp-ベンザインを捕捉する研究は1,4-シクロヘキサジエンからの脱水素や四塩化炭素からの脱塩素による官能基化に限定されている。 本研究では、p-ベンザインの4重ホウ素化反応を開発した。一挙に4つの炭素―ホウ素結合を形成する本反応の反応機構について、理論と実験の両面からアプローチすることで遷移状態の構造とその活性化障壁を解明した。一方で、4重ホウ素化生成物の単結晶X線結晶構造解析による同定にも成功した。
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