本研究は、強力かつ多様な生物活性を示す、ステロイド型骨格を有する高酸化度天然物の、網羅的合成手法の確立を目的とする。今回、酸素官能基化されたAB環とD環フラグメントを収束的に連結し、ラジカル反応またはアニオン反応によりC環を構築するという戦略を開発した。本戦略により、ステロイドアルカロイドであるバトラコトキシンの効率的な全合成を達成した(22工程)。また、カルデノリドやブファジエノリドの全合成に向け、ステロイド4環性骨格を有する重要中間体を合成した。 今後は、本手法を応用し、使用するフラグメントの酸化度を変更することで、様々な酸化度のステロイド様天然物の全合成へと展開していく。
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