研究課題/領域番号 |
21K14629
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
保野 陽子 九州大学, 理学研究院, 助教 (40736500)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ホモプシン / 環化 / 側鎖 |
研究実績の概要 |
ホモプシン類は、オーストラリア等に生息するマメ科植物に寄生するカビの二次代謝産物として見出された。本天然物の生物活性発現機構を明らかにすることを目指し、前年度に引き続いてホモプシン類の全合成に取り組んだ。まず天然物の環状部位を合成するため、前年度に合成したトリペプチドの分子内環化反応を試みた。検討の結果、縮合剤の希釈溶液に、環化前駆体をゆっくりと添加することが反応の進行に重要であることが分かった。さらに縮合剤を検討した結果、8割程度の高収率にて望みの環化体を得ることに成功した。環化体が得られたので、N-メチル化と酸化による環状部位への変換を行った。N-メチル化では一部保護基が除去されてしまったが、のちに生成物を収束されることができた。続く酸化はスムーズに進行し、ホモプシンAの環状部位を合成することができた。 続いて市販の4-ヒドロキシプロリンを出発物質として、我々が独自に開発したα-ジフェニルホスホノグリシネートとの連結、つづくE-選択的オレフィン化を行うことで、ホモプシンの側鎖部位に相当するトリペプチドを合成した。 上記で合成した環状部位と側鎖部位の連結に向け、デヒドロプロリンをモデル基質として環状部位との縮合を検討したところ、目的物の他にアズラクトンが副生する結果となった。現在、アズラクトンの生成を抑えるための反応条件を検討中である。さらに別途、ホモプシン側鎖部位の活性発現における役割を明らかにするために、側鎖部位の抗がん活性評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天然物の環状部位および側鎖部位の合成が完了した一方で、両者の連結には至っていない。令和4年度中に全合成の完了を目標としていたため、進捗がやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
縮合反応条件を速やかに決定し、ホモプシン類の全合成達成を目指す。また側鎖部位の活性評価をおこない、抗がん活性活減における役割を明らかにする。活性が見出された場合は、側鎖部位のアナログの合成にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に繰り越した分が、今年度の次年度使用額として残った。当該助成金は、合成研究を進めるための試薬購入代等に充当する予定である。
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