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2021 年度 実施状況報告書

ユニークな反応化学種と有機リン化合物との特異な反応の開発および機能性分子の創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K14630
研究機関熊本大学

研究代表者

荒江 祥永  熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (90754896)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードベンゾホスホール / 環化異性化 / リン中心不斉 / 軸不斉 / 多環式複素環化合物
研究実績の概要

我々は最近、o-アルキニルアリールベンゾヘテロールに対して塩基触媒を作用させると、環化異性化反応が進行し、2種類の全く異なるキラルな多環式複素環化合物が得られることを報告している。本研究では、これらの知見を利用したユニークな立体構造を有する有機リン化合物の合成法の開発を目的として、リン中心不斉を有するo-アルキニルアリールベンゾホスホール類縁体の環化異性化反応を検討した。
まず、基質となるo-アルキニルアリールベンゾホスホール類縁体の設計を行った。これまでの知見から、o-アルキニアルアリールベンゾヘテロールを用いた環化異性化反応では、ベンゾヘテロール部位の芳香族安定化エネルギー(ASE)の大きさに応じて、「連続する炭素中心不斉」、もしくは「軸不斉」を有する多環式複素環化合物が選択的に得られることがわかっている。このことを踏まえ、芳香族性を示さない5価ベンゾホスホールを有する基質を用いた環化異性化反応では、「連続する不斉炭素中心」を有する生成物が選択的に得られると予想した。
以上の分子設計に基づき、まずo-アルキニルアリールベンゾホスホールオキシドの合成を行った。次に、合成した分子を用いて、環化異性化反応を検討したところ,目論見通り「連続する不斉炭素中心」を有する生成物が主生成物として得られた。一方で、「軸不斉」を有する生成物も少量副生していることが明らかとなった。この予想と異なる結果について、さらに考察するために、カルコゲンの異なる基質を用いた環化異性化反応についても検討した。その結果、カルコゲンの種類に応じて、2種類の生成物の生成比が逆転するという興味深い知見が得られた。これらの結果は,本反応系の生成物の選択性(反応の位置選択性)が、これまでに報告している電子的な要因(ASE)によるものではないことを示唆しており、非常に興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、基質となるo-アルキニルアリールベンゾホスホールオキシドの分子設計と合成法の検討を行い、量的供給が可能な合成経路を確立することができた。また、合成したo-アルキニルアリールベンゾホスホールオキシドについて環化異性化反応を検討したところ、分子設計の段階で予想していた結果とは異なる結果を示した。さらに、カルコゲンの異なる基質についても合成し、環化異性化反応を検討したところ、カルコゲンの種類に応じて、得られる生成物の選択性(反応の位置選択性)が変化することもわかった。
本反応系で得られる2種類のキラルな多環式複素環化合物は「リン中心不斉」に加えて「連続する炭素中心不斉」、もしくは「軸不斉」を有するユニークな化合物である。しかしながら、今回検討した反応条件におけるジアステレオ選択性は低いものであった。

今後の研究の推進方策

芳香族性を示さない5価のベンゾホスホールを有する基質を用いた環化異性化反応について、生成物の選択性(反応の位置選択性)に影響を及ぼす要因の解明を進める。また、各種塩基触媒を検討し、ジアステレオ選択性の向上を目指すとともに、各種不斉塩基触媒についても検討し、触媒的不斉合成手法の開発も検討する。さらに、得られる環化生成物を用いた応用研究も検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] o-アルキニルアリールベンゾホスホールスルフィドの環化異性化に基づく複数のキラリティを有するユニークな多環式複素環化合物の合成2022

    • 著者名/発表者名
      荒江 祥永,中野将太郎,入江 亮
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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