現行の糖鎖合成法では,グリコシル化反応の位置と立体を制御するために保護基を利用する.しかし,保護基の利用に起因する多段階の合成工程は,糖鎖の合成効率の低下を招く課題であった.本研究では,糖鎖の迅速供給に資するグリコシル化反応の開発を目指して,無保護糖のグリコシル化反応の開発に取り組んだ.独自に開発してきたベンゾオキサボロール(BO)触媒を技術基盤として,その高機能化と無保護糖のグリコシル化反応への展開を試みた.二機能性BO触媒という新たな触媒概念の実証に成功するとともに,無保護糖のグリコシル化反応の触媒としての可能性を見出すことに成功した.
|