本研究では、「結晶性分子ローターを基盤とした新規な固体発光機能の開拓」をNHC金属錯体を用いて行った。複数のバルクなNHC配位子を回転部位の周辺に導入した錯体ローターを合成し、その回転部位の周辺にさらに分子構造が大きく異なる有機分子を加えた。興味深いことに、導入された三つの回転部位が結晶中で連動回転を示すことを見出した(EurJOC. 26・e202201468・2023)。また、回転運動を示しうるNHC金(I)錯体に種々のハロゲンドナー分子を加えて共結晶化させることで、結晶中で金(I)-カロゲン原子間で働く相合作用を系統的に設計できることを見出した(Chem. Sci. 2023. accepted)。さらに「Double Network (DN) hydro-gelにおける機械的ダメージのリアルタイム可視化技術の開発」を行なった。DN gel の機械的損傷を発光色の変化に伴いリアルタイムで可視化できる技術の開発にも成功し、化学系のトップジャーナルの一つであるJournal of the American Chemical Societyに掲載決定された。
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