1.キラル白金(II)錯体の光反応:カチオン性白金(II)錯体を合成し、その一重項酸素性能、細胞毒性・光毒性を調査した。カチオン性白金(II)錯体はヒト臍帯静脈内皮細胞に拡散によって取り込まれ、ヒト臍帯静脈内皮細胞において光毒性を示すことが明らかとなった。同様にタンパク質と結合したカチオン性キラル白金(II)錯体を合成し、その一重項酸素生成能、細胞毒性・光毒性を調査した。タンパク質と結合したカチオン性キラル白金(II)錯体はヒト臍帯静脈内皮細胞にエンドサイトーシスによって取り込まれることが明らかとなった。本成果は現在論文投稿中である。また、アミノ酸を導入したキラルカチオン性白金(II)錯体を合成し、その分光学的性質を調査した。水溶液中でpHによって発光色が変化することが明らかとなった。 2.準安定状態を有する白金(II)錯体の発見:白金(II)錯体の結晶多形を見出した。準安定状態では固体色・発光色が赤色、安定状態では固体色・発光色が黄色であることが明らかとなった。単結晶X線構造解析により、安定状態の結晶構造が新たに明らかとなった。本成果はInorganic Chemistryに掲載された。 3.二酸化炭素によって誘起される白金(II)錯体の自己集合:水溶性白金(II)錯体を合成した。この白金(II)錯体は、水溶液中で二酸化炭素ガスと選択的に反応して会合体を形成することが明らかとなった。また、吸収スペクトルの時間変化の特異値分解と速度論解析により、水溶液中で白金(II)錯体が少なくとも32量体以上であることが示唆された。本成果はChemSusChemに掲載された。 4.白金(II)錯体会合体の分光学的性質:白金(II)錯体会合体の分光学的性質に関する内容を国際会議にて招待講演を行った。
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