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2021 年度 実施状況報告書

光マイクロリアクターによる有機薄膜太陽電池用半導体材料の高選択的合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K14668
研究機関地方独立行政法人大阪産業技術研究所

研究代表者

隅野 修平  地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (60783272)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードフローリアクター / 光反応 / 有機半導体材料 / フラーレン
研究実績の概要

次世代型太陽電池である有機薄膜太陽電池のアクセプター材料としてフラーレンおよびその誘導体が期待されており、効率的なフラーレン誘導体合成法の開発が望まれる。しかしながら、フラーレンC60が持つ30個もの多重結合への逐次反応の制御が困難であるため、所望のフラーレン誘導体を高収率かつ高選択的に得ることは難しい。
本研究では、最近開発したフラーレン誘導体の光合成法を光フローマイクロリアクターへと適応し、逐次反応を抑えつつ更なる効率的合成手法の開発を目指す。目的とするフラーレンの新規官能基化法の開発において、メタノフラーレン誘導体として最も一般的に利用されている、PCBMをモデル基質として検討を行った。
2021年度は、フロー系における基質・試薬の等量比の検討と反応時間の検討を行った。なお、装置構成としては、1つのシリンジ(A)にはフラーレンと付加原料を、もう一方のシリンジ(B)には添加剤を、それぞれ必要量の濃度としたオルトジクロロベンゼン溶液をチャージしている。反応装置全体としては、シリンジA、Bからシリンジポンプを用いて送液し、T字ミキサーにて混合後、続く光照射ユニットを通過する構成とした。試薬に関してはいくつかの濃度で調整し等量数の検討を、また流速を変化させることで、反応時間(=滞留時間)による収率の変化を追った。まず、反応装置の比較を行うため、バッチ式反応装置の最適条件と同じ当量数比率において検討を行った場合は、フロー系では収率が低下する結果となった。そこで、付加原料の当量数を増やすと反応が早くなり、収率も向上する結果となったが、逐次反応もそれに伴い増加した。一方で、添加剤の量を減らすと、反応速度が遅くなるとともに、収率も若干低下する傾向が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度の予定では試薬の等量数、光源、反応温度の検討を行う予定であったが、試薬の等量数の検討のみにとどまった。理由としては、バッチ式の反応で最適であった溶液濃度では、フロー式へと展開したところ、フラーレンの飽和溶液に等しい濃度であり、ハンドリングにおいて想定以上に難航した。
また本研究全体において、反応の原料転化率や収率などを求める上で保有のHPLCによる反応追跡を予定していたが、HPLCが不調であり、修理に3ヶ月以上かかってしまったこともあり、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

本来であれば2021年度度中に実施予定であった光源と反応温度の検討を行いつつ、反応溶液の濃度検討も行い、更なる収率の向上を目指す。また大量合成に向け、十分な流速を確保できるよう、反応装置の改良も行い、連続運転を行うことによる大量生産の検討も行う。また、付加原料の合成を含んだ一気通貫型フロー合成の検討に関してもフロー系に適した反応条件を見出せるよう検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究全体において、反応の原料転化率や収率などを求める上で保有のHPLCによる反応追跡を予定していたが、HPLCが不調であり、修理に時間がかかってしまったこともあり、計画当初よりやや遅れている。そのため、想定よりも消耗品や試薬の消費量が少なかったこと、また、光源の検討も十分に行えていないため、光源の入手も遅れていることから、予算の執行が悪くなっている。また、コロナ禍の状況により、オンラインでの学会開催になったため、旅費がかからなかった。
次年度は遅れている研究を進めるべく、光源を新たに入手するための費用や、消耗品の購入に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Methanofullerene Synthesis via Photogenerated Fullerene Radical Anion Intermediates2021

    • 著者名/発表者名
      Sumino Shuhei、Matsumoto Fukashi、Iwai Toshiyuki、Ito Takatoshi
    • 雑誌名

      The Journal of Organic Chemistry

      巻: 86 ページ: 8500~8507

    • DOI

      10.1021/acs.joc.1c00593

    • 査読あり
  • [学会発表] フラーレン誘導体PCBM合成における光フロー化への展開2022

    • 著者名/発表者名
      隅野修平、松元 深、岩井利之、伊藤貴敏
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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