研究課題/領域番号 |
21K14682
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土肥 侑也 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10784770)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 環状高分子 / レオロジー / 中性子散乱 / 非平衡構造 / ダイナミクス |
研究実績の概要 |
環状高分子は、分子内に末端を持たないモデル高分子であり、その構造と物性の相関解明は高分子物性学における重要課題である。本研究では、流動下における環状高分子の力学応答とそれに伴う非平衡構造・ダイナミクスを流動-小角中性子散乱(Rheo-SANS)測定により評価・解明することを目指す。 今年度は、来年度のRheo-SANS測定を見据えて、高純度環状高分子の試料調製を行なった。アニオン重合法により、分子量3万ならびに10万程度の両末端官能性線状ポリスチレン(PS)試料を合成し、その環化反応を行なった。得られた環化物中には、目的の環状高分子の他、分子間反応により生じた多量体や未反応の線状物が含まれるため、2種の高速液体クロマトグラフィー (HPLC)法(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法と相互作用クロマトグラフィー(IC)法)による分離精製により、高純度環状PS試料を調製した。 得られた環状高分子試料の粘弾性測定を行い、Rheo-SANS測定を行うためのせん断速度等の実験条件を検討した。Rheo-SANS測定を行うための実験課題を、国内外の中性子実験施設に現在申請中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初の予定通り、環状高分子試料の調製を行うことができた。今年度に得られた試料を用いて、今後はRheo-SANS測定を行う。また得られた環状高分子試料の粘弾性測定を行い、Rheo-SANS測定を行うためのせん断速度等の実験条件を検討することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた環状高分子試料を用いて、今後はRheo-SANS測定を行う。特に、今年度の粘弾性測定より確認した、適切な温度・せん断速度流動下で、Rheo-SANS測定を行う。二次元検出器に対して異方的な散乱パターンが得られることが予想されるため、流動方向と垂直方向における高分子鎖の形態を、既存の各種分子モデルを応用し、分子論的理解を目指す。
|