研究課題
若手研究
分子量の異なる単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウムをモデル高分子電解質として使用し,拡散波分光法を用いた絡み合い高分子電解質溶液の高周波線形粘弾性解析を行った.結果として,高分子電解質の絡み合い粘弾性は,分子量が低い場合,粘弾性パラメータのスケーリング則が電気的中性高分子の予測と一致し,一方,分子量が高い場合,実験結果は高分子電解質のスケーリング予測と一致した.つまり,絡み合いを形成した溶液中における高分子電解質は,分子量によって静電相互作用の機序が全く異なることを実験的に証明した.
polymer physics
高分子電解質は食品のレオロジー改質剤やセメント中粒子の分散性を安定化させる目的として使用されるなど,我々の生活に必要不可欠な高分子である.一般的に,高分子電解質を溶液に溶かせば,静電相互作用がはたらき,その影響を受けた溶液物性が予想される.しかしならが,我々の研究結果は,高分子電解質の分子量によっては,静電相互作用は作用しないことを実験的に示しており,溶液物性制御における重要な材料開発指針を与えるものである.