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2021 年度 実施状況報告書

可逆的に物理架橋-化学架橋変換が可能な新規熱可塑性ポリウレタンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K14689
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

伊藤 祥太郎  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00783979)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード熱可塑性エラストマー / 架橋 / 解架橋 / 光応答 / アントラセン / フェニレンジアクリル酸
研究実績の概要

成形性に優れ、材料リサイクルが可能な低環境負荷材料である熱可塑性エラストマーに対し、共有結合に由来する架橋が可能で、さらに加熱による解架橋が可能な応答性部位を導入することで、化学架橋に基づく高耐久性と、熱可塑性に基づく高生産性・リサイクル性を兼ね備えたエラストマーの開発を目的としている。本年度は、光により架橋し、加熱による解架橋が可能な応答性部位として、アントラセン誘導体と1,4-フェニレンジアクリル酸エステル誘導体を検討した。最終的には熱可塑性ポリウレタンのポリマー主鎖に導入するため、ヒドロキシ基を2つもつ応答部位の合成を検討した。アントラセン誘導体は、アントラキノンを原料として2段階で、9,10-ビス(ヘンキサノロキシ)アントラセンを合成した。目的物を単離し、質量分析で合成を確認した。しかし、室温で徐々にアントラキノンに分解することが確認され、安定な光応答部位としては利用が難しいことが判明した。次に、1,4-フェニレンジアクリル酸の利用を検討した。難溶性の1,4-フェニレンジアクリル酸を溶解させるため、NMPを溶媒に用いて1,4-ブタンジオールと脱水縮合を行った。縮合物を再沈殿して回収し、1HNMRにより、目的のエステル結合を有するオリゴマーが得られたことを確認した。クロロホルム溶液から乾燥させた薄膜状のオリゴマーに対し、紫外光照射を行うと、FT-IRでアクリルの二重結合に由来するピークが消失し、光架橋が進行したことを確認した。架橋したサンプルを200℃で加熱すると、黄変したが、FT-IRのピークに変化は見られず、この温度では解架橋が難しいことが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

光により化学架橋し、加熱により解架橋できる応答部位を探索したが、化合物の安定性や、解架橋温度が高温であることなどにより、架橋と解架橋を同時に達成できる応答部位を見出すことができなかった。

今後の研究の推進方策

1,4-フェニレンジアクリル酸のオリゴマーについて、200℃より高温での解架橋を検討する。アントラセンについては、分解が起こりにくいと考えられる、カルボン酸誘導体を検討する。本研究の目的に合う応答部位を早期に見出し、ポリマーに導入して、エラストマーとしての機能を評価していく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍によりテクニカルスタッフを雇えなかったことで人件費が不要であったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] アゾ化合物の光固液相転移と可逆接着剤への応用2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 祥太郎
    • 雑誌名

      日本接着学会誌

      巻: 57 ページ: 370-357

    • 査読あり
  • [学会発表] アゾベンゼン含有ポリマーの固液相転移現象を利用した可逆接着剤の開発2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 祥太郎
    • 学会等名
      第70回高分子年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] アゾポリマーの固液相転移に基づく光応答性可逆接着剤2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤 祥太郎、秋山 陽久
    • 学会等名
      第70回高分子討論会

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公開日: 2022-12-28  

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