研究課題/領域番号 |
21K14695
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
王 傲寒 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (80804773)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジクマロール / 超分子マイクロファイバー / 蛍光性 / 自己修復性 |
研究実績の概要 |
本研究では、ジクマロール超分子マイクロファイバーの形成メカニズムを分子レベルから解明するとともに、精密な分子設計に基づき、成型加工性に富むマイクロファイバーを用いた新機能・新材料の開発を目指す。2021年度では、多種多様のジクマロール誘導体を合成し、分子レベルから超分子マイクロファイバーの形成メカニズムの解明を目的とした。4-ヒドロキシクマリンと多種のアルデヒドを用いて、ジクマロール誘導体を合成した。得られたジクマロール誘導体は赤外線吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定を行い、分子構造を確認した。各々のジクマロール誘導体を適切な溶媒に溶かし、得られた超分子マイクロファイバーの形成状況を走査型電子顕微鏡(SEM)観察で評価した。その結果、ジクマロール誘導体の分子構造が超分子マイクロファイバーの形成に影響を及ぼすことを突き止めた。また、本研究のマイクロファイバーは生体材料、ガラス、金属、プラスチックに高い親和性を示すため、この特性を活かして導電性高分子マイクロファイバーの作製を行った。導電性高分子粉末とジクマロール誘導体の混合溶液から作製した超分子ファイバーは、導電性と蛍光性を示すことが分かった。本年度に得られた基礎データをもとに、次年度以降の機能性超分子マイクロファイバーの開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は当初計画通りに多くのジクマロール誘導体を高純度で得ることができ、分子構造、1)C3-C3’メチレン架橋部位の置換基の立体障害、2)クマリン間のOH基による分子間/内水素結合、3)クマリン環の平面性、が超分子マイクロファイバーの形成に与える影響を調べることができた。またマイクロファイバーの微細構造は、適切にイオンスパッタリング処理することで、高真空SEMで観察することができた。ジクマロール超分子マイクロファイバーと導電性高分子粉末との複合材料も作製できた。
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今後の研究の推進方策 |
1)これまで得られた超分子マイクロファイバーの光学的特性、熱特性等の諸物性評価を行う。多彩な置換基を導入したジクマロール低分子を設計、合成、測定し、光学的吸収・発光特性を行う。これらの化合物を用いて超分子マイクロファイバーを作成し、光吸収特性を評価する。2)ジクマロール超分子マイクロファイバーの自己修復性を利用して、1)から作製した超分子ファイバーの自己修復性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
偏光顕微鏡購入の必要がなくなったことと、外部委託経費を当該研究費以外の経費で一部を賄ったため。翌年度は4-ヒドロキシクマリン誘導体やガラス器具の購入を行うため、次年度分請求額と合わせて使用する予定である。また、研究成果発表のため学会の旅費も多く使用する計画である。
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