研究課題
本研究では、有機正極活物質の電解液に対する溶解性の高さを改善し、高い容量、高いサイクル特性、高いエネルギー密度を同時に満たす有機分子の開発を目指した。令和4年度までに、テトラチアフルバレン(TTF)の周辺部に四つのトリフェニルアミン部位を有する分子(4TPA-TTF)の合成に成功し、それを正極活物質とする二次電池が高いサイクル特性やエネルギー密度を示すことを見出している。令和5年度は、4TPA-TTF以外に、TTFの周辺部に四つのジフェニルメチルアミン部位を有する化合物、四つのジフェニルアミン部位を有する化合物、チオピラン部位を有する新規分子の合成に成功し、これらの分子がサイクリックボルタンメトリー測定中に重合することを確認した。4TPA-TTFを正極活物質として用いた二次電池に関しては、充放電した電池を分解し、EDX解析を経時的に測定した。サイクリックボルタンメトリーを用いた4TPA-TTFの詳細な電気化学的性質と併せた考察により、4TPA-TTFの電池内での重合機構や充放電機構が明らかになった。また、4TPA-TTFを活物質とする二次電池が高いレート特性を示すことも明らかになった。また、対照実験として、4TPA-TTFを別法で予め重合させた分子を合成した。しかし、合成した分子の形状から、それらを用いた電池は作成することができなかった。この結果より、当初の予想通り、本研究で提案する電池内重合技術の優位性を確認することができた。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
European Journal of Organic Chemistry
巻: 27 ページ: -
10.1002/ejoc.202400088
New Journal of Chemistry
巻: 47 ページ: 11760~11764
10.1039/D3NJ00289F
Pure and Applied Chemistry
巻: 95 ページ: 431~438
10.1515/pac-2023-0302