研究課題/領域番号 |
21K14713
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 翔風 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90800649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 一酸化炭素還元 / メタン生成 / 固体高分子形燃料電池 / 白金電極触媒 |
研究実績の概要 |
カーボンリサイクル技術ロードマップの達成へ向けて、一酸化炭素(CO)から燃料を製造する技術の確立は重要な位置づけにある。そこで本研究では、CO自身を燃料として発電する新規燃料電池(H2-CO燃料電池)の開発を目指す。本電池はアノードに水素(H2)ガス、カソードにCOガスを供給するため、COを還元しながら(有用生成物であるメタンを生成しながら)発電できる革新的電池となる。本研究の目的は、そのH2-CO燃料電池を実験的に実証することであり、そのためにはCO還元反応の制御が重要となる。したがって本研究では、H2発生より貴電位でメタン生成反応を進行させること、またその際のCO転化率60%以上を達成目標項目として研究を遂行している。本年度の主な研究成果は次のとおりである。Pt/C電極触媒を有する膜電極接合体を組み込んだ固体高分子形セルによるCO還元において、カソードに供給するCO濃度がCO還元特性に与える影響を評価した。なお、CO濃度は不活性ガス(アルゴン)で希釈することにより調整し、生成物分析法にはインライン質量分析法を採用した。その結果、CO濃度をppmオーダーにまで低くすることでCO還元によるメタン生成に成功し、CO濃度が2 ppmのときにメタン生成量が最大になることが確認された。また、重要なことに、そのCO還元によるメタン生成は0.1 V vs. RHE付近で観察され、低過電圧下(H2発生より貴電位)で進行することが見出された。今後は、電極電位を厳密に制御することでCO還元によるメタン生成の高効率化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の1つである低過電圧下(水素発生より貴電位)での一酸化炭素還元によるメタン生成に成功しており、研究実施計画に従いおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通りに推進する。R4年度はまず、CO還元電位がメタン生成に与える影響について評価し、メタン生成の高効率化を検討する。その上で、メタン生成反応を高効率に連続化できる電位条件について探索していく予定である。なお、生成物分析方法についてはインライン質量分析法に加えて、ガスクロマトグラフィーも採用する予定である。R5年度は、その他のパラメータ(セル温度、ガス流量、電極触媒種など)がCO還元特性に与える影響について検討する予定であり、最終的にH2-CO燃料電池としての発電性能試験を行う。
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