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2021 年度 実施状況報告書

反応電位に立脚したデュアルカーボン電池の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K14718
研究機関京都大学

研究代表者

山本 貴之  京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (30783823)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード二次電池 / 炭素材料 / イオン液体
研究実績の概要

本研究の目的は、グラファイトやハードカーボンなどの炭素材料へのカチオンやアニオンの挿入脱離挙動に関する知見について、反応電位の観点で再整理を行い、炭素材料を正極および負極活物質に用いたデュアルカーボン電池を構築することである。
2021年度は、主にカリウム系に注目し、グラファイトを負極および正極材料へと応用するための基礎検討を行った。研究代表者によって既に開発済のカリウム系イオン液体を用いて、グラファイト負極の充放電挙動を調べた結果、40℃において理論容量(279 mAh g-1)の95%以上の可逆容量を発現した。また、X線回折(XRD)分析の結果、ステージ1, 2, 3のカリウム-グラファイト層間化合物(K-GIC)が形成されることが分かった。低レートでの充放電によって、結晶性の高ステージ構造の形成も確認された。また、Li-GICやNa-GICの電気化学的形成挙動についても検討し、様々な要因を考察した結果、アルカリ金属-グラファイト層間化合物の形成は同等の電位で起こる可能性が示唆された。
グラファイト正極の検討では、M[FSA]-[C3C1pyrr][FSA]およびM[FTA]-[C4C1pyrr][FTA] (M = Li, Na, K)イオン液体を用いて系統的に検討を行った結果、Mの種類やアニオン種によらず同等の電位で容量を発現した。FSA系とFTA系のイオン液体を比較した結果、後者の方が良好な充放電性能を示し、特にカリウム系の場合100 mAh g-1程度の容量を安定して示した。この系についてXRD分析を行ったところ、グラファイト正極がステージ構造を取りながら相変化を起こし、満充電時においてステージ1のFTA-GICを形成することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カリウム系のイオン液体中において、グラファイトが負極および正極材料として動作することが分かり、その充放電メカニズムも明らかになりつつある。特に、FTA系イオン液体については、正負極の両方で妥当な性能が得られており、フルセルの構築に向けた基礎的な情報を収集することができた。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りに進んでいるため、研究計画に大きな変更は無い。TFSA系のイオン液体も合わせて、正負極の両方で系統的に炭素材料の充放電性能を調べる。また、デュアルカーボン電池用の電解液という観点では、さらなる最適化が必要と考えられ、その点についても取り組む予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] FSA系およびFTA系イオン液体中におけるグラファイト正極挙動の比較検討2022

    • 著者名/発表者名
      二階堂貴文、山本貴之、野平俊之
    • 学会等名
      電気化学会第89回大会
  • [学会発表] Potassium storage behavior of graphite negative electrode in FSA-based ionic liquid electrolyte2022

    • 著者名/発表者名
      Alisha Yadav, Takayuki Yamamoto, Toshiyuki Nohira
    • 学会等名
      電気化学会第89回大会
  • [学会発表] K[FTA]-[C4C1pyrr][FTA]イオン液体中におけるグラファイト負極の充放電挙動2022

    • 著者名/発表者名
      小林大展、Alisha Yadav、山本貴之、野平俊之
    • 学会等名
      電気化学会第89回大会
  • [学会発表] Charge-discharge behavior of graphite positive electrodes in FTA-based ionic liquids2021

    • 著者名/発表者名
      二階堂貴文、山本貴之、野平俊之
    • 学会等名
      第11回イオン液体討論会
  • [学会発表] Graphite as negative electrode for potassium-ion batteries using FSA-based ionic liquid electrolytes2021

    • 著者名/発表者名
      Alisha Yadav, Takayuki Yamamoto, Toshiyuki Nohira
    • 学会等名
      第11回イオン液体討論会
  • [学会発表] Electrochemical behavior of graphite negative electrode for potassium secondary battery using FTA-based ionic liquid electrolyte2021

    • 著者名/発表者名
      小林大展、Alisha Yadav、山本貴之、野平俊之
    • 学会等名
      第11回イオン液体討論会
  • [学会発表] Comparative Studies on Graphite as Negative Electrode for Alkali Metal-Ion Batteries Using FSA-Based Ionic Liquids2021

    • 著者名/発表者名
      Alisha Yadav, Takayuki Yamamoto, Toshiyuki Nohira
    • 学会等名
      The 12th International Symposium of Advanced Energy Science
    • 国際学会
  • [学会発表] FSA系イオン液体中におけるグラファイト正極へのアニオン挿入挙動2021

    • 著者名/発表者名
      二階堂貴文、山本貴之、野平俊之
    • 学会等名
      第89回マテリアルズ・テーラリング研究会
  • [学会発表] Comparative studies on graphite negative electrode for alkali metal-ion batteries using FSA-based ionic liquid2021

    • 著者名/発表者名
      Alisha Yadav, Takayuki Yamamoto, Toshiyuki Nohira
    • 学会等名
      第89回マテリアルズ・テーラリング研究会
  • [学会発表] FTA系イオン液体電解質を用いたカリウム二次電池におけるグラファイト負極の電気化学挙動2021

    • 著者名/発表者名
      小林大展、山本貴之、野平俊之
    • 学会等名
      第89回マテリアルズ・テーラリング研究会

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公開日: 2022-12-28  

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