研究課題/領域番号 |
21K14729
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
JALEM Randy 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 主任研究員 (20767553)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習ポテンシャル / 固体電解質 / 全固体電池 / 第一原理計算 |
研究実績の概要 |
全固体電池開発の大きな課題の一つが固体電解質のバルク・界面伝導度の向上である。本研究では、固体電解質のバルク構造内と粒界構造においてLiイオンの移動を解析することを目的とした。これを実現するために、第一原理計算をよく再現できる機械学習ポテンシャルを開発した。また、機械学習ポテンシャルの種類にはモーメントテンソルポテンシャルを用いた。学習データは第一原理理分子動力学法(MD)より計算したエネルギーや原子間力などのデータを用いて作成した。固体電解質としては、beta-Li3PS4を検討した。スーパーセルには少なくとも1万個の原子を含むバルク構造、アモルファス構造、粒界構造について、MDシミュレーションが実施されました。訓練データセットのために、Σ3およびΣ5の結晶粒界には15個の化学組成に対応する粒界モデルが構築されました。さらに、より高いΣ値(例:Σ13、Σ25)や非晶質-結晶接触を持つ結晶粒界構造も生成され、その後のMD計算に使用されました。開発した機械学習ポテンシャルを用いた分子動力学法の結果により、beta-Li3PS4のアモルファス構造のLiイオン伝導度(10^-3 S/cm)はバルク結晶構造より(10^-5 S/cm)二けた高いと分かった。この傾向は実験と一致することが確認した。その一方、粒界伝導度を解析したところ、beta-Li3PS4のTwist粒界構造の方(10^-3 S/cm)がTilt粒界構造の方(10^-4 S/cm)より一けた高いと分かった。位相的データ解析(persistence diagram)とLiイオンsite disorder解析により、Twist粒界構造のLiイオンのring構造とそのLiイオンのsite disorderはTilt粒界構造の方により大きいため、それでTwist粒界構造においてLiイオンの活性化エネルギーが低くなって、伝導度も高くなることが考えられる。(Submission)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分な計算リソースのおかげで、データ生成の段階は成功裏に進行しました。
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今後の研究の推進方策 |
Li3PS4固体電解質の以外にも、本研究ではNaイオンのスルフィド型固体電解質にも拡大されます。Na-Sb-S組成系のトレーニングデータセットの生成が行われます。この組成系では、Naスーパーアイオン伝導体Na3SbS4が存在し、バルクおよび粒界におけるNaイオンの拡散を研究する対象材料となります。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年購入した計算ノードは、予算に割り当てられた金額よりも安価でしたからです。
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