ゲルマニウムをドーピングした無機ペロブスカイト結晶は湿気や酸素に対し耐久性が非常に低いことがわかった。そのため、ペロブスカイトの上に塗布製膜する正孔輸送材料を検討した。CuSCNを正孔輸送層に用いてペロブスカイト太陽電池を検討したところ、従来のspiro-OMeTAD正孔輸送材料を用いたものよりも、高耐久であることがわかった。特に、相対湿度湿度約30%の大気雰囲気下で数週間発電性能を維持することがわかった。ただし、発電性能は6%程度と低いため。改善を検討した。 CuSCN正孔輸送材料は塗布・乾燥工程によって製膜されるが、乾燥時の大気雰囲気によってCuSCN膜の結晶性が変化することがわかった。75%の高湿度条件でCuSCNをエイジングすると、CuSCNの結晶サイズが大きくなり、トラップ密度が減少することが分かった。その結果、太陽電池のシリーズ抵抗が小さくなり、開放電圧が大きくなることで、10%のエネルギー変換効率を得られた。また、高湿度のエイジング条件によってペロブスカイト層が分解されなかったことから、CuSCN層が下層のペロブスカイト層を十分に保護していることが分かった。 さらに、CuSCNをオレイルアミン溶液で処理すると、CuSCNが一部溶解、再析出することによって、結晶サイズが大きくなることがわかった。これにより、さらにセル抵抗とトラップ密度が低減し、11%のエネルギー変換効率を得た。
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