研究課題/領域番号 |
21K14741
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
兼松 佑典 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (10765936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 量子化学 / 統計解析 / データベース開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高機能性分子であるヘムの構造機能相関についてのより有用な解析手段を確立し、ヘムを含有するヘムタンパク質やヘムを用いた材料の開発指針を提供することである。1年目にあたる当該年度は新規データの収集したうえでデータベースを更新し、自動更新用法検討・実装を行った。また、量子化学計算による物性値算出についても着手した。 具体的には、開発中のヘムタンパク質データベース「PyDISH」(https://pydish.bio.info.hiroshima-cu.ac.jp)の更新を行い、エントリー数を拡充するとともに、各エントリーについて利用可能なデータ項目を追加した(ただし新規項目については3/31時点では一部非公開)。エントリー数は2021年4月6日時点で14,883であり、2022年3月2日には15,540まで増えた。 PyDISHのデータの更新は現時点で手動で行なっているが、定期的な手動更新は手間を要するためデータベースプロジェクトの長期維持に際して弊害となりうる。これを解消するためヘムのデータの自動更新について検討し、日本蛋白質構造データバンク(PDBj)の提供するRESTサービスを利用した軽量な実装を考案した。実装自体は概ね完成しており、計画では最終年度に完成予定であったが次年度には自動更新を運用開始できる目処が立った。 量子化学計算によって各エントリーについてヘムの酸化還元電位や酸素吸着能とった物性値の計算を開始した。既存のエントリーに対して一通りデータが揃った時点でPyDISH上で公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有機分子や有機金属分子の結晶構造データベースであるCambridge Structural Database(CSD)からのデータ購入とそのアノテーション作業を予定していたが、デスクトップPCの故障により着手できなかった。一方でPyDISHの更新は予定通り行い、利便性を向上させることができた。自動更新の検討・実装についてについては当初の予定より早い完成の目処が立った。量子化学計算による物性値計算も開始しており、次年度以降の研究の下地は整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
延期していたCSDのデータのアノテーション解析を行うとともに、計画通り拡充したデータベースを用いてヘムタンパク質の構造-物性-機能相関解析に移行する。 また、PyDISHのユーザーから、自前で(PyDISHの提供する枠組みを超えて)ヘムタンパク質の構造解析を行える様にして欲しいと要望があったため、これに応えヘムタンパク質のより柔軟な構造機能相関解析手段の確立を目指す。具体的には自動更新のために用いたRESTサービスに加えて、ウェブブラウザで機械学習を行うことができるGoogle Colab (https://colab.research.google.com/?hl=ja)を計算資源として活用した実装を行い、完成次第公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
PCの故障によりデータベース(CSD)の購入が遅れ、次年度に回したため。
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備考 |
開発中のデータベース・解析ツール同梱のウェブアプリケーション。
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